命のナマエ

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そして二時間後、やっと追いかけっこは終了した。


レゴラスの圧勝だった。
初めはスランドゥイルが勝っていたが、
レゴラスは先回りして尋常じゃない速さと満点の笑みを浮かべながら、追いかけてきた。


なかなか黒いんですね、レゴラスさん…。



「はぁはぁ」



灰蓮は長時間、縦横上下に揺れ動き、振動を受けていた。
その為、かなり体力を消耗し疲れ果てていた。

エルフは馬に乗る際、鞍などの馬具は必要としないらしい。

そのため、あたしは必死にしがみついている訳で、もうクタクタだった。




「父上…」


「待て、レゴラス!」


今、レゴラスはスランドゥイルの前に立って不気味なオーラを放っている。

あたしは相変わらずスランドゥイル王に抱えられていて逃げ出せないので、ふたりの様子を見守ることにした。



「待てと言われて、待てるかと言ったのは貴方ですよ?」


「サボったのではない、ちょっと休憩しただけだ!!」


「そうですか、つまり反省してないと。」


「反省などしておらぬ。ちょっと休憩しただけであろう?」


「貴方のちょっとは3ヶ月なんですね。」


レゴラスはさらにニコリと笑った。
灰蓮はのんきに、この後が怖いなと思った。

レゴラスの背後にはゴゴゴゴゴと黒いオーラが漂っている。



「わかりました。
貴方はこの弓で撃ち殺されたいんですね?」



レゴラスは弓矢をつがえそれを目の前にいる相手に向けて構えた。



「早まるな!一応、父親だぞ。」



さすがのスランドゥイルも危機を感じたのか、必死に叫びなんとか彼を止めようとしている。

…一応って。



「では約束してください。」


「それは出来んぞ。」


そこは頑固なんだな。
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