小さな本棚3

□もしも雲雀が暁だったら
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「一回雲雀と任務に行ってみろ。あいつの戦いは見る価値がある」


「んなことしたらオイラ咬み殺されんだろ旦那!うん!」


「安心しろ。メンバーはみんな、雲雀の任務に一回は一緒に向かったことがあるぜ。なぁイタチ?」



静かに手元にある本を読んでいたイタチに旦那がそう問いかけると、イタチのやつは本を閉じて頷いた。

群れ嫌いなのに一回はみんなとコンビを組んだことがあるって……なんだそりゃ。



「任務の邪魔にならなければ大丈夫だ。雲雀もそこまで鬼じゃない。
邪魔にならないこと、一定の距離を保つこと、それを守れば渋々でも許してくれる」


「それでも渋々なのかよ!」


「充分だろう?なんせあの雲雀だ。かなり譲歩してくれているぞ」


やべぇ…、オイラ雲雀の旦那が分からなくなってきた……。
怖いのか意外と話の分かるやつなのか微妙だ…、うん。



「……鬼鮫の旦那も、雲雀の旦那と行ったことあんのか?うん」


「えぇ、ありますよ。雲雀さんの戦いはそれはもう、鬼神の名にふさわしい戦い方でした」


「へー……」


「棒術だけで一国を落としたあの任務は壮絶でしたねぇ……。懐かしいものです」


「は、一国!?一国って言ったのかい鬼鮫の旦那……!?」


「そんなに驚くことでもないでしょう?あの雲雀さんですよ、デイダラ」


「いくら強くても、それだけで一国落とすとか普通考えらんねぇっての!」


「なら明日雲雀の任務に行ってみろ。規模は全然違うが、ちょうど一つの組織を潰す任務のはずだ」


「組織……?」


「ざっと二百人はいる組織のはずだぜ」


「二百人!?」



それを雲雀の旦那が一人で潰すってのかよ!?
トンファーだけで!?



「二百人……。雲雀さんからしたら少なすぎますねぇ」


「だろうな」


「少ねぇのかそれ!?」


「だから一緒に行ってみろって言ってんだろ?ただし、気を付けろよ。
邪魔な場所にいたら敵もろとも咬み殺されるぞ」



見境なさすぎだ!うん!



「なんかもう……雲雀の旦那ってサソリの旦那より怖ぇな…」


「あ゛あ?殺されてぇか」


「ナンセンス……。
確かに雲雀は横暴だ。言動も重なって様々な誤解を受けやすいが、あれでも優しい面だってある」



や、優しい…?
この会話を聞いてたら優しいとこはないもんかと思うのは当然で……。
本当にあんのかよ…、うん…。



「お前もいつか分かる時が来るだろう。あの人は意外と、義理堅い男なんだ」


「……ふーん」



そういやぁ、イタチって雲雀の旦那と同期だったんだっけな。
なんだかやっといいイメージが持てそうだぞ、うん。



「……ただいま」



ぽそりと聞こえてきた声がして玄関の方を向いてみると、任務を終えてきたらしい雲雀の旦那がそこにいた。
暁メンバーの証である外套を、肩から羽織っているその姿は相変わらずだ。
サソリの旦那と鬼鮫の旦那、イタチがみんなして群れにならないよう距離を取ろうと思ったのか、足が動きかけた。
だが、それはなぜか中途半端に止まってオイラは疑問符を浮かべた。


え、群れてたら攻撃されるんじゃねーのか?







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