小さな本棚3
□補佐官の苦労
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……そして…、長の子供が復讐者最高責任者、所謂長を継ぎ早数年。
長の子供はちゃんと長らしく復讐者をまとめてはいるが、やはり子供は子供。
今日も元気にはしゃぎ回っていた。
「きゃはははははは!!」
「主…!!待てって言ってるだろ!」
「やぁだよ〜う!待ってほしかったら追い付いてみろぉー!」
きゃはは!、と笑いながら軽快に走っていく子供……それが今の復讐者最高責任者だ。
グワストは、あのやろう…!と思い追いかけるが、なかなか追い付けない。
子供の体力とは恐ろしいもので、先に体力を使いきったのはグワストの方だった。
「だ、誰に似てあんなやんちゃに育ったんだか……」
少なくとも前の主は(多分)そんなのはなかったはず…、と思いながら目の前で愉快そうにくるくる回る今の自分の主を見る。
主は楽しそうに笑っていた。
「グワストってさぁ、何でそんなに体力ないのぉ?」
「主がありすぎんだよ…!」
「きゃはは!グワストがなさすぎるのぉ」
「(一応俺結構ある方!)ったく……子供はホント元気だな……」
「子供の取り柄は元気ぃってね♪それでぇ、掟破りはいたぁ?」
「え?あぁ……、数件な」
「ならそこ全部に復讐者向かわせてよぉ。牢はもう普通のとこでいいやぁ」
「分かった。じゃあ仕事やってくる」
「あ、僕お菓子食べたいからついでに持って来てねぇ」
「(本当の目的は菓子か主…!!)」
この野郎…ッ、と思いながらも下っぱの復讐者に仕事を与えた後、グワストはちゃんとお菓子を主に持っていった。
ここで持っていかなかったら面倒なことになるからだ。
拗ねられれば、主はずっと仕事をしなくなる。
仕事をやらないよりか、お菓子を与えて大人しくしててもらう方がグワストとしても楽だった。
「あ、お菓子食べ終わったら鬼ごっこの続きやろうねぇ」
「……分かったよ」
はぁ…、と小さくため息をつきながら前の長の忘れ形見を見る。
主が前の長に似ているところは嫌なところばかりだ。
はちゃめちゃなところ、自由すぎるところ、急に話が飛ぶところ………
なぜそういうところばかりが似たんだか…、とグワストは再びため息をついた。
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