小さな本棚3
□復讐者の大掃除
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「じゃあ、部屋の片付けよろしくねぇ〜。僕は掃除機するからぁ」
「エ……、アノ…主……?」
「ん?なぁにぃ?」
「掃除ヲスルタメニ我々ヲオ呼ビニナッタノデスカ……?」
「そうだよぉ。だからグワストには見つからないようにって言ったんじゃん!」
なぜ補佐官に見つかってはならないと言うのだろうと彼ら復讐者は思っていたが、掃除をするためというのを聞いて納得した。
確かにこれは補佐官に見つかれば怒られるだろう。
恐らくこの掃除は、補佐官が少年にちゃんとやらせようと思って言い渡したものなのだろう。
部下が手を出すのはいけないと分かっていても、相手は自分たちの上司であり主のため、断ることなどできず、沈黙した。
そしてやがて、復讐者は床に散らばっている書類やお菓子を片付け始めたのだった。
「あ、その書類こっちぃ。罪人リストと死刑執行リストは別にしといてぇ」
「ハイ」
「マフィアリストもフリー、ファミリー別にしてねぇ」
「ハイ」
「主、コノ黒イ本ハドコデショウカ?」
「ん〜?あ、ブラックリストはその棚だよぉ」
書類は綺麗に片付けられ、お菓子のゴミは全てゴミ袋へと入れられた。
床が顔を出し、綺麗に片付いた床に少年は掃除機をかける。
ダーッ、と壁から壁まで走り、それを何往復もして部屋中に掃除機をかけていく。
ある程度できたところで、少年は掃除機の電源を切った。
「終わったぁ……。じゃあもう帰ってもいいよぉ。ありがとねぇー」
用が済んだことを伝えられた復讐者は、失礼シマスとだけ言って去ろうとした。
扉を開けたそこには、マフィアたちが普段目にするような復讐者の姿ではなく、頭に飾りのように包帯を巻いたグワストの姿だった。
仁王立ちする復讐者最高責任者の補佐官を見て、復讐者は思わずぎょっとする。
「……お前らは今すぐ持ち場に戻ってろ」
「「「ハ、ハイ…ッ」」」
慌てて去る復讐者と、その後ろにいるグワストを見て、少年はあちゃあぁ…と自分の額を叩いた。
グワストが怒っているのは明らかで、
部下に片付けを手伝わせたのは既に分かっているらしく、少年はどう言い訳しようかと頭を捻った。
グワストは、小さな少年を見下ろしながらそのひくついている口を動かす。
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