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□☆2位:光謙
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「謙也さん、ほらこっち向いて」

「いやや」

「子供みたいな事言わんの。ほら…」


ベットの上で顔をりんごの様に真っ赤に染め、額からは大粒の汗が浮かんでいる謙也さんと軽い取っ組み合いをしている。
俺の手には水差しと三粒の錠剤。

風邪を引いて高熱を出した謙也さんに何とかして薬を飲ませようとするのだが、それを頑なに拒み続けられてこの状況なのだが…。


「医者の息子が薬飲むの嫌やなんて、良くないで?」

「医者の息子でも薬剤師の息子でもややもんはややの」

「しゃあないなぁ…」


流石にこれ以上すると早く治るものも治らなくなってしまう恐れもあり、無理矢理飲ませる事を諦めた。

さて、どうしようか…と深く溜息をつく。
すると、布団の中で謙也さんがビクリと大きく跳ねた。

被っていた毛布からほんの少し顔を出して不安そうな眼差しを向けているって事は、きっと俺に呆れられただろうか…とかマイナス方面の考えをしているのだと思う。
現に今にも泣きそうに瞳を潤ませて俺を見ている。


「謙也さん、もう飲めなんて言わへんから顔出してや?」

「うー…」


毛布から覗く栗色の髪を優しく撫で耳元で囁くと、そろり…と様子を伺いながら顔を出す姿が小動物の様で可愛い。
優しく微笑み返し、謙也さんの頬を軽く撫でれば瞳を閉じうっとりとした表情をしながら俺に身を任せる。

謙也さんは撫でられる時、必ず瞳を閉じる。
その行為を利用して、俺は水差しの水と錠剤をに口に含み、未だに瞳を閉じている謙也さんに口付けた。


「んん…っ!」


最初は大人しくされていただけだったが、緩く閉じられていた唇を舌でこじ開け強引に開かせる。
そこへ水と一緒に含んでいた錠剤を器用に舌で転がし、口移しで飲ませる。

錠剤が口の中に入ってきた所で自分が何をされているのか理解した謙也さんが俺の腕を掴んで引き離そうともがく。


「ん…ふ…っ…ふぁ…」


苦しそうな声が漏れるが、これも全て謙也さんの為。

後頭部で手を添え、しばらく吐き出せないように舌を絡めていると、こくんと音を鳴らして薬を飲み込んだ。
それを確認した後にもう一度深く舌を絡めて深く口付けをし、お互いの混ざり合った唾液を飲ませる。

しばらく謙也さんの熱い舌を堪能した後、ゆっくりと唇を離すとお互いから銀色の糸が伸びぷつりと切れた。
ぼーっとしていた謙也さんだったが意識が少し覚醒したのだろう、力の入らない腕で俺を押しのけてきた。


「の、飲めなんて言わへんって…言ったのに…光のあほぉ…」

「飲めなんて言うてへんでしょ?飲ましただけっすわ」

「同し事やん…」


飲みきれなかった水と唾液をパジャマの袖で拭い、熱以外でも真っ赤な顔をし、ふてくされ身体ごとそっぽ向いてしまった謙也さん。
いくら薬を飲ます為とはいえ、騙してしまった事に少しだけ心が痛む。

振り向いてほしくて蹲っている肩に手を伸ばすと、それより先に謙也さんがこちらを向き、とても小さい声で呟いた。


「光とキスするなら…こんなんやなくて…もっとちゃんと…したい」

「!」


熱と先程の口付けの余韻で瞳を潤ませながら、きゅっと俺の袖を引っ張りながらおねだりする謙也さんが愛しくてもう一度その可愛らしい唇に口付けた。



END


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