過去の拍手小話
□12月4日〜1月4日まで
1ページ/1ページ
【クリスマスの奇跡】
あなたのお相手はだあれ?・・・
毎年クリスマスは一人・・
家族でケーキを囲んで、ちょっと豪華な食事をして・・・
パパはそれはそれで喜んでるけど、年頃の女の子が家族で過ごすって・・
それなりに悲しいんですけど・・・
本当は大好きなあの人と一緒に過ごしたい。
だけど、誘われなかった。
今年は、きっと・・ううん、もしかしてなんて密かに淡い期待をしてたんだけど・・・
だったらわたしから誘えばって思ったりもしたけど・・なんかそれも・・クリスマスに誘うってそれなりのプライド?もあったりで・・(つまらないプライドだと言われそう・・)
それにモテナイ女って思われそうで・・
なんてグジグジしてるまにクリスマスイブになってしまった。
なんか家にいてもツマラナイから・・
DVDでも借りようかと町に出かけた。
賑やかなクリスマスソングがところどころから聞こえて町全体が浮かれてるようにさえ思える。
道ゆく人はアベックも家族連れもみんな楽しそうで・・
うん・・なんかマッチ売りの少女の気持ちが分るかも・・なんて思いながら広場にある大きなツリーを見つけて引き寄せられるように側にきて見上げた。
少し暗くなりかけたからイルミネーションが点灯されて凄くキレイなのに、一人で見るにはその光がかえって寂しくみえたりして・・
わたしはため息を付いて身を翻した。
その勢いでわたしは人にぶつかってしまった。
「ごめんなさい・・」
見上げた顔をみて思わず一歩下がった。
「一人?だれかと待ち合わせ?」
一緒に過ごしたかった大好きな彼が優しい目でわたしを見つめて言った。
「ううん・・ひとり・・」
「俺も・・なんかさ、遠くからツリーがみえて引き寄せられるように見に来た・・」
「わたしも・・・」
二人で見上げるツリーはさっきよりもっと輝いてキレイに見える。
「奇跡だな・・会いたくて町を歩いてた。
もしかして会えそうで・・」
「え?」
「そんな勘が働いて・・まるで導かれるように・・」
「わたしに会いたかったの?」
「まぁ・・」
わたしはニコッとわらって言った。
少し照れた顔が可愛くて・・・
「これから二人でクリスマスしない?」
もうプライドなんてなくて・・・
「え?」
「わたしも・・一緒にいたい・・
クリスマスの奇跡だもの・・・」
「そうだな・・・」
クリスマスの奇跡は少しだけ勇気をくれて・・
二人の距離が少し近づいた・・
寒い公園のベンチで食べたコンビニのロールケーキを半分こして・・
シャンパンの変わりはサイダーだけど・・それはそれで良くて・・
公園から見えるツリーは水面に映って美しすぎてまるでサンタさんがくれたプレゼント。
魔法にかかった二人は・・そっと唇を重ねた・・クリスマスの奇跡・・