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□「話をできれば」
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「話をできれば」

―――いる、
ここ数日、自分の周りをうろつく気配。
獄寺や山本は気づいていないようだ。
・・・リボーンは怪しいけれど。
あの「1件」で、どうしようもなくマフィアの業を見せられた、
「・・・いるんだろ、骸。」
その呼びかけに、遠くの木の陰から骸が姿を現した。
「・・・どうしたんですかボンゴレ。」
「どうしたもないよ、ここ数日オレのまわりにいるだろ?」
「・・・ご名答、ですね。」
「どうしたんだよ骸。
オレを乗っ取るのなら、もっと手早くやればいいのに。」
「―――僕はあなたを知りません。」
「・・・は?」
ツナの問いにずっと黙っていた骸が、不意に口を開いた。
「僕はあなたのことを何一つ知りません。
ボンゴレファミリーの次期ボスで、弱虫で、どこまでも甘くて、
敵である僕にでさえ手を差し伸べようとする。
僕はそれぐらいしか、あなたを知りません。」
カツン、カツン、とアスファルトを踏みしめて骸は近づく。
「六道を識ったのに、僕は脆弱な人間のことさえ知らない。
それに歯がゆいし、どこかが、」


「ぽっかりしてるんです。」


「―――な、骸。今日うち来ないか?」
あんな怖い目にあったというのに自分は何をやっている。
だから骸に「甘い」といわれるのだけれど、
今はそんなことどうでもよかった。

「一緒にご飯食べたら、そのぽっかりもなくなるから。」
ツナは骸の手を引いて歩き出す。
「一緒に行こう、骸。」

「・・・はい、ボンゴレ。」

ツナの言葉に、骸は静かに微笑って答えた。



終わり。




骸さんがやけに不安定になる御話。

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