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□夕暮れに寄り添う2つの影
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夕暮れに寄り添う2つの影

(※アニリボ159話を見て思いついた話。そしてCPが不明。)

人が全ていなくなった野球場。
昼間にはあれほどの熱気を見せていたのに、
それと正反対にガラリとしている。
そう、掛けた期待が大きければ大きいほど、落胆は大きいものだ。
少なくとも、ソイツが正直であれば正直であるほど、
と雲雀はフェンスにうな垂れている山本に視線を向けた。
夕暮れと夜の境目になり、
空もオレンジというより赤黒くなってきた頃。
「・・・別に君の指導不足じゃないと思うよ。」
1度は席を立ったものの、山本を見ていられなくなったからであり、
野球場から一向に出てこない山本を見かねて戻ってきた雲雀。
さっきからずっと、山本はうな垂れている。
言葉を投げかけてもピクリとも反応しないことに、
腹を立てるより先にやっぱり、という気持ちが大きかった。
「仲間のために全力を尽くせ」と、
野球部のために残した自分の言葉。
あれがどれほど、鋭利な刃を突き立てて自分に刺さったか。
仲間のために、などと考えたことのない雲雀にとっては
理解しがたいことである。
「・・・ねぇ、君はどうしたいの。」
点数板はリセットされ、そこになにも表示されていない。
人間の気持ちの切り替えというのは、
無機物のリセットのように容易いものではない。
そうとわかっているが、
いつも笑っている山本が笑顔でなければ、
炭酸の抜けた炭酸ジュース並につまらない。
「・・・ねぇってば。」
待つのがイヤになってきたため、
仕込んであるトンファーを取り出そうとした矢先、
山本の「違うんだ、」という声がそれを制止した。

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