novel

□あまい熱
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「……ん、…ッぁ、ぁ、っ…」
ぐちゅり。ずちゅっ。
肌が深く擦れ合うたびに響く卑猥な水音。まるで鼓膜まで、犯されているかのよう。
それと共に繋がった箇所から、焼け付くような熱がぞくぞくっと広がり、思わず彼の着物をぎゅうっと強く掴んだ。
「……た、たかす、…ぎ……」
名を呼べば、目の前の隻眼が楽しそうに細まって、その唇が己の耳に下りてきた。
柔らかな舌先に内側をペろりと舐め上げられて、からだがぴくりと震える。
「…くく、ヤラシイ声だな」
屈辱的なことを言われているのに、彼の低い声と熱い吐息に思わず身体は反応してしまい、熱を増す。

「……う、るさい…ッ、あぁ、」
胸をまさぐっていた手が、突起をなぶりあげた。
それだけで痺れるような灼熱が全身を襲い、身体中が震え上がった。
そのまま、彼の長い指先に存分にいたぶられる。
摘まれて、軽く引っ張られて…
柔らかい舌先に突然撫で上げられた時には、身体が跳ね上がった。
「……ひゃ…っ、や、やぁ…」

自分でも呆れるほど、甘ったるい声が零れる。
でも……抑え切れない。


「本当に感じやすいなァ…お前。自分がどんな声上げてるかわかってんのか…?耳と胸、そんなに好きかよ?ナカ、すげぇ締まったぜ……?本当、エロい身体してやがる…」
うるさい、うるさい!
誰のせいだと思っているのだ!
そう罵ってやりたいのに…
自分の耳を支配する低い声に言葉で責められる度、身体中がぞくぞくと痺れる。
身体の中が…沸騰する。



彼の手がふいに下に降りてきて、熱く兆した俺自身に指先を絡めてきた。
「………っん!!」
大袈裟なくらいに、からだが震え上がった。
長い指先に、弱い先端を優しく握り込まれて。抑え切れずぽろぽろ蜜を零す割れ目を、その指の腹でくちゅり、と強めに擦り上げられると、ぞくり…、と全身にとろけるような痺れが広がった。
「……、ぁ…、あぁ、…ッ…」
ただでさえ、弱いところなのに。
そこを、この性器を快楽で満たすためだけに動く指先に、強弱を付けながら、巧みに絡み付かれ…。
意識までも溶かされそうなほど甘美な快楽が、下半身から全身へゾクゾクと染み渡っていく。


どれだけ精神を鍛えても、体力を付けても…
どうしても、剥き出しの感覚神経に注がれる刺激に耐えることだけは出来ない。
本能に負けてしまう。
彼の手の中に包まれていると意識するだけで、気持ち良くなった自分の性器にますます血が集まって来てしまうのがはっきりとわかり、また身体が熱くなった。


彼の指先にあまくいじめられ、とろとろに熱く熟した自身から熱が溢れ出しそうで、爪が食い込むほどに強く拳を握りしめ、必死に自分を抑え込んだ。
「……我慢、してんじゃねェよ………」
耳に流れ込む低い囁きとともに、意地悪く彼の指先が動く。
先端の割れ目に彼の爪がツプリと食い込み、射精欲が一気に高まってしまう。
そのまま、弱い先端を握り込まれ、激しく扱かれる。
「……や、ッあ、ぁっ、そん、な…に、ッ…、ぅあ、あぁッ…」
頭がくらくらした。
彼の指先で作られた筒状に激しく性器を擦られるのは、どれだけ強くされても痛みなど全く感じなくて、ただただ甘美な快楽が身体中を犯していくだけ…。
――…きもちいい…
もう、それしか考えられない。


駄目押しとばかりに、彼が腰をぐっと突き入れ、俺の弱い場所を激しく突いてきた。
彼の熱いモノに、敏感な場所を激しく擦られて、焼け付くような灼熱に身体中がとろけた。
「…あ、あぁあぁっ…、」
あまい官能の痺れに、全身が熔かされる。
びりびりと感じる痛みさえも、快楽と溶け合って、甘い熱に変わってしまう。
…彼のだと、わかっているから。


彼の、指の長い大きな手にからだを撫でられる度に、いつも熱くとろけてしまう。
下半身ならばなおのこと…。
熱く熟した性器をほんの少し、その指先に擦られるだけで、痺れるような快楽に全身がとろけてしまう。
もう、どんな声を上げているのかすら意識出来ない。
視界がちかちかする…。


…ただ、触れられただけで。
その指先が、俺の肌を這っているんだと思うだけで。
その熱が、俺の内側を掻き回し蹂躙しているのだと考えるだけで。
麻酔をかけられたように、痺れていく。
思考回路も、身体も。
火傷したように、熱を孕んでいく……。
もう……止められない。

内側も、外側も……
とろけて…しまう……


……もっともっと
とろけさせてほしい。


俺の一番熱いところを、その指先で、その熱で、たくさんたくさん、いじめてほしい…


このたまらなく、あまい熱で…。



fin.

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