復活

□雨(ヒバツナ)
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「最悪だ・・・。」
そう呟いてオレは肩を落とした。


 雨



今日もオレはテストでとんでもない点を取ってしまった為、放課後当然居残りとなってしまった。

山本はとっくに済ませていて、店の手伝いがあるらしく、先に帰った。獄寺くんはというと、オレが終わるまで残ると言い出し、オレの事だから遅くなるのは分かってたし、これ以上迷惑をかけるのは嫌なので、何とか先に帰ってもらう事にした。

いつもみたく、プリントと睨めっこ。こう何時間も見てると、文字が暗号の様に見えてきて、目が痛い。いや、頭が痛い。

それでも必死に頭を回転させ、何とか全ての問題を解く事ができた。

やっと帰れる!!と喜びが込み上げてきた・・・が、家に帰ってもあのスパルタ家庭教師にしばかれると思うと開放感が失せた。

トボトボと誰もいない玄関に重たい足を運ぶ。と、玄関に着いた途端、ある事実を知ることになる。

「・・・・雨・・・思いっきり降ってんじゃん・・・」

先ほどは問題に必死で気づかなかったが、外は大雨だったのだ。

今日は雨が降るなんて思ってもみなかったので、当然傘なんて持ってきてない。

これからは折り畳み傘を常備した方がいいな・・・と反省した。

テカ、反省したってしょうがないじゃん。仕様がない。走って帰るしかないよ。

と、ここで冒頭に戻る。

そして少し感傷に浸った後、渋々靴を取ろうと靴箱に手を伸ばした瞬間。

「何やってるの?」

低い声が耳に入ってきた。

声の方に視線を向けた瞬間、寒気がはしった。

「ひ、ひひ雲雀さ・・ん・・・」

雲雀さんこと雲雀恭弥。並盛中の風紀委員長でありながら不良の頂点にも立つ最強の風紀委員長である。つまり皆が恐れる人物。そんな人が今自分の前に立っている訳で。しかも声までかけられてしまった訳で。

「聞こえないの?2−A沢田綱吉」

「!!は、はいッ!その、先ほどまでその・・居残り・・してました・・・」

だんだん声のボリュームが下がっていく声を聞きとり、溜息を漏らしている。

「・・・それってこの前もそうじゃなかった?」

「え・・・はい・・・」

何で知ってるんですか?

なんて口が裂けても言えるはずがない。

「もう下校時刻とっくに過ぎてるんだから、早く帰りなよ」

「はいッ!!」

ビシッっと返事をし、靴を取って玄関を出ようとして・・・

「ちょっと」

「え?」

「君・・・そのまま行くつもり?」

「え・・・なんでですか?」

オレの言葉に2回目の溜息を漏らす。

「傘は?」

「あー・・えっと・・・忘れました・・・。」

そう目を泳がせながら答えるオレに雲雀さんは手招きをする。

「?」

意味が分からずじっとその様子を見てるオレに痺れを切らして「こっち来て」と呼ぶ。

恐る恐る近づくと「遅い」と怒られた。

するとスタスタと暗い校舎を歩いて行く。

そんな様子をボーっと見ていたオレは、何となく行った方がいいと判断して、急いで彼の後ろを付いて行った。

外は大雨。空は真っ暗。もちろん廊下もすごく暗い。

そんな暗い所をスタスタと堂々と歩く彼も上から下まで漆黒で、周りの黒に混ざって消えてしまう。

オレは見失わないように必死に彼の背中を追った。

と、暗くてよく分からなかった為、彼が止まったのが分からず思いっきり背中に顔をぶつけてしまった。

「イテッ!・・・す、すいません・・・」

「着いたよ」

そう言う彼の前には

「・・・応接室・・・??」

そう。応接室に向かっていたのだ。

「入って」

そう戸を開けてオレを通す。

「し、失礼します・・・」

「座って」

椅子に座りながらそう言う彼の考えが全くもって分からぬまま、逆らったら何をされるか分からない・・・いや、分かってるが思いたくない。そう心の中で呟きながら腰を下ろした。

「ちょっと待っててね」

「・・・・・・はい・・・」

そう言って、奥へ行ってしまった。

(オ、オレどうなっちゃうんだろう・・・)

この事で頭がいっぱいだ。

別に何もやってないよな?あ。毎回遅くまで居残ってるせい?!あーもう何なんだよぉ!!

「はい」

ひぃッ!・・・・・て・・・あれ?

「飲みなよ」

「は・・・はぃ・・・」

目の前に出されたのは紅茶。

カップはすっごく上品な作りをされていて、また紅茶の香りもとてもいい。

言われるがままにカップを手に取り少しだけ飲んでみた。

「どう?」

「お・・・・美味しい・・です」

お世辞とか、そんなんじゃなくて本当に美味しかった。

「そうだろうね。僕が淹れたんだから」

そう言って優雅にお茶を楽しむ雲雀さん。

そんな姿を見ると何故か笑みがこぼれる。目の前にいるのはあの雲雀さんなのに・・・。

オレもつられてお茶を楽しんだ。


あれから30分ぐらい経っただろうか。あの大雨が嘘の様に止んでいた。

「雨も止んだし、オレ帰りますね。有難う御座いました」

「あぁ」

「では、失礼しました」

部屋を出て戸を閉めようとした時、

「またおいで」

普段では想像もできない様に微笑んだ彼を見て

「・・・はいッ!」

そう笑顔で応えた本当の気持ちを知ったのはもっともっと後の事だった。


++後書きと言う名の言い訳++

ただただヒバツナだと言い張ります(ぇ。
力不足で申し訳ない。
めっさショボい・・・OTL

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