テキスト
□きっと、特別。
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はた、と気付けばモトが俺の顔を覗き込んでいた。
「あ、山ちゃん起きた?ナイスタイミング、もう目的地に着いたよ〜」
…………え?
*きっと、特別。*
頭の中に靄がかかっているこの感じ。
久々に体験したけど、これはあれだ。懐かしさすら覚えるこれは。
――――寝起き。
…え、俺、今。寝て、た…?
その事実に驚き過ぎて直ぐに動けなかったのを、何も知らないモトは『山ちゃん寝惚けてる〜』なんて笑ってるけど。
そんな簡単な問題じゃないよ、モト。
だって、俺が一体どれくらい不眠症であることに悩んで、この合宿に臨んだか。
どうしてだろう。どうして、俺は眠る事が出来たんだろう。
動かない頭で考える。
眠る前、何か普段と違う事があっただろうか。
とりあえず席を立つと、後ろから和己に肩をポンと叩かれた。
振り返ると、満面の笑みの和己。
「とりあえず今日の夜、山ちゃんはタケと同室だから」
……………は?ダレ?
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