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□星空の惨劇
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それは、同輩の何気ない一言から始まったのだと思う。








*星空の惨劇*









「あれ、迅。口の端切れてない?」
「あ?あ〜。今日リップ忘れてさ。すぐ口切っちゃうんだよな〜」

利央と2人、部活後に居残って自主練した後帰って来た部室。
まぁ俺らの他にもちらほらと自主練してた人はいるんだけど、1年では俺らだけだった。

ガチャリと部室の扉を開けると、そこには3年でレギュラーの、島崎…先輩?がいた。
そういえば、この前に何故か凄い剣幕で是非『慎吾さん』って呼んでくれよなっ!なっ!と迫られたんだけど、そう呼んだ方がいいのかな。

「お〜お疲れ〜」
「あっ、お疲れさまです!」
「あれ、慎吾さんまだ部室に残って何してんの?」

利央の物言いに、ギョッと利央を振り返った。
先輩になんて口の聞き方を!

「和己待ってんだよ。今監督に呼び出されててさぁ」

慎吾…さん(まぁ利央もそう呼んでるみたいだし)は、怒る所か普通に言葉を返していて、利央って本当、いつの間にか仲良くなってるよなって感心した。

自分のロッカーに向かって着替え始める。

はぁ、今日も疲れた。やっぱり練習量に付いていけなくて吐いちゃう時もあるし。でもそれだけやりがいがあるってもんだよな。

「なぁ、」
「わぁっ!」

黙々と着替えていたら、突然後ろから、しかもかなりの至近距離から声を掛けられて、思わず仰け反ってしまった。

「も〜慎吾さん!気配消して近付かないでよ!ビックリしたぁ〜」

隣で着替えていた利央も驚いたようで、ぶーぶー言い出した。
すげぇ、怖いもの知らず…。

「悪ぃ悪ぃ。ところで、迅」
「はいっ?」

突然話を振られて焦る。

な、何かしたっけ。
生意気だとか、因縁付けられるんだろうか。

ビクビクしながら次の言葉を待てば、やって来たのは予想外の言葉だった。


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