ショート

□拍手
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本山の場合

「迅?」

がやがやとうるさい昼休み、購買で出会ったのは桐青野球部1年でレギュラーを勝ち取った真柴迅でした。

「あ、モトさん。ちわっス」
「何?雑貨コーナーで何してんの?何買うの?」

矢継ぎ早に質問すれば、迅は困ったようにいつも下がり気味の眉を一層下げた。

「え〜と…ルーズリーフを」
「こんな時期に?」

まだまだ新学期が始まったばかりではあるし、ノートがなくなるのには早すぎる。
第一野球部は授業なんか出てて出てないようなもんだ。1年の時からノートなんか真面目にはとらない。

もしや、いびり、とか…。

今時レトロにノート隠したり目につく所に捨てたり?
その他諸々…まぁ、タケも1年の時にちょっとあったらしいし。
通過儀礼ですかな。

勿論、ひどくなるようなら止めるけど。

…俺ら3年が迅を可愛がったり庇ったりすると、余計非道くなる可能性もあるしなぁ…。
下手な事できないのがつらい。

「…よし、ここはオニーサンが奢ってやろう」
「え!?そんな、いいですよ!」
「何、気にすんなよ。買ったって500円にもなんないんだから」

…だからって、迅への態度を改めるのは更におかしいだろう。
迅だけじゃなく、野球部は全員仲間なんだから。









(陰険な事する奴は、プレイで黙らせてやれ、迅。)








20091117~20100228
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