ショート
□拍手
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*本マサ*
『マサヤ〜ン初詣行こ〜』
…寝起き早々、嫌なものを聞いた。
『あっ待って待ってマサヤン!切らないで!』
「…何言ってんだモト。さみぃよ」
『何言ってんのきょうびの若い子が!』
その言い方は若くないけどな。
寝起きいきなりケータイで喋ってるせいか、頭が正常に作動しない。
「一人で行けよ」
『マサヤン、初詣だよ!?いわゆる祭だよ!!おみくじ引いてあんず飴食べて綿菓子食べて甘酒飲んで焼き鳥食べて射的して』
「子供かよ…」
『子供だよ〜!!ね〜行こ〜よ〜マサヤ〜ン』
あんまりしつこいんで、何も言わずに電話を切ってやった。
そしたらすぐにまたかけなおしてきやがった。
チッ俺とした事がうっかりしてた。
『マサヤ〜ン今のは酷い〜』
「モト…そういや言い忘れてた」
『え、何何!?』
「あけましておめでとう。」
間。
の、後。
『えぇ〜今のタイミングで!?』
「悪いか」
『いや悪くないけど…じゃあ俺も。あけましておめでとう』
電話口からがさがさ聞こえてきて、こいつまさか頭下げてんじゃねぇだろうな。
しかし初詣かぁ…。
人多いだろうなぁ…。
うぅやっぱり行きたくねぇ!
『マサヤン聞いてる〜!?』
「あ、聞いてなかった」
『ヒドッ!あんね〜俺初夢見たよ!』
「おぉ、なんだよ」
『えへへ〜マサヤン!』
「……」
『あっまさかマサヤンちょっと引いてない!?』
「俺は富士山だったぜ」
『えぇっスゴッ!』
向こうでわーわー喚くモトに、電話で良かったなんて俺が思ってる事がバレないように、俺はできるだけ普通の声で話した。
「モト」
『何?』
「…初詣、行ってやらん事もない」
えぇっマジ!?なんて言ってるモトに、この顔が赤くなった分どう仕返ししてやろうか。
俺はすっかり目の覚めた頭で、そんなことを考えた。
20080102~20080115