ショート

□拍手
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*タケ山*

「タケ〜何だった?」

山ノ井が青木の持っているものを覗き込みながら言った。
そして、見た後にゲッと眉を寄せた。

「大吉じゃん…」
「はぁ。実は俺、これしか引いた事ないんスよ。
山さんはなんでした?」
「大吉さまの後には言いたくねぇな〜」

そそっと隠す山ノ井に、今度は青木が覗き込むようにして言う。

「あんま意味ないッスよこんなん」
「む〜…じゃあ言うけど」
「はい」
「………………凶」
「………………はぁ」

山ノ井のたっぷりの間に、青木もたっぷり間を空けて返す。
そんな青木に、山ノ井は憤慨したように口を開いた。

「も〜だから言いたくなかったのに!
俺もタケとおんなじでこれしか引いた事ないんだよな〜」
「いや…寧ろ強運じゃないッスか?」
「え〜」

山ノ井は口を尖らせぶぅぶぅ言う。

「こういうやられキャラ的なのは慎吾とかじゃないと〜」
「まぁいいじゃないッスか」
「他人事だと思って」
「違いますよ」

どん、と人混みに押された山ノ井の肩を引き寄せて、青木が言う。

「二人一緒にいたら、ちょうどいいじゃないスか」

その言葉に、山ノ井はきょとんとした後、

人混みなのをいい事に、始終にこにこと青木に抱き付いていた。


20080102~20080115
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