☆RA≠PI≠LA≠ZU☆

□☆RA≠PI≠LA≠ZU☆ 〜一幕〜
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「もう…シツコイなぁ…」


暗い夜道をセーラー服の女子が一人、何かに追われていた。
女子の名前は甲本 美月(こうもと みつき)といい、ここ魔境都市『ラピスラズリ』に住む学生である。


「一体いつまで追って来るんだろ…」

美月が後ろを振り向き、距離を確認しようとした矢先に、不意に誰かの足につまづき…いや、足をかけられ、派手に転んだ。

「いったぁ…最悪ッ!!」

美月は膝をしたたかに打ち、立てない様子である。

「ヤバい!さっきの化け蜘蛛が…」

先ほどから美月を追っていた物が、暗闇に九つの眼を輝かせながら姿を現した。
それは、人並みの大きさの毛深い蜘蛛だった。


「あぁもう気色悪い!!」

美月がなんとか起き上がろうとすると足をかけた男が月明かりに照らされた。


「うちの蜘蛛がさぁ…腹減らしてるんだよ…頼むからお嬢ちゃん餌になってやってよ…」

男はすでに目がラリっている…


「ペットは飼い主に似るって本当だわ…」

美月は膝を押さえながら再び走りだした。


「待ちやがれッ!!」

男は蜘蛛と共に走りだした。

『美月!!後10m頑張れ!!』

どこからともなく、聞き覚えのある男の声がした。
美月が残り10mを走り抜け、振り向くと突然蜘蛛の動きが止まり、男だけが走ってくる。

「観念しろ!!」

男が叫び、美月に手をかけようと腕を伸ばした途端、その腕と側頭部を掴まれ、地面に叩きつけられた。

「作戦成功じゃん!!」

男を押さえつけているのは、背が異様に高く、身長が推定2mほどで、髪の毛が赤く染まっている。

「木本君…もっと早くできなかったの?膝すりむいちゃったよ!!」

美月は木本と呼ばれる青年の肩をはたいた。

「痛ッ!!仕方ないだろ、岡崎が渋ってたんだから…」

青年の名は木本 雅彰(きもと まさあき)という

「岡崎君が?なんで?」

美月が走ってきた方を見ると、化け蜘蛛が鎖で身体をがんじがらめにされていて、もがいている。

「岡崎!!さっさと斬れ!!」

近くの建物の窓から逆にぶら下がり、鎖を絞っている小柄なはずなのにやたら丈の長い服を着ている男が叫んだ。

「馬鹿言え安川!!蜘蛛なんか斬れるか!!あぁ気持ち悪い…」

右手に日本刀を持っている青年は、蜘蛛からなるべく離れて、窓からぶら下がっている男に向かって怒鳴った。

「な?」

「なるほど………」

美月と木本は妙に納得した
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