連載小説

□夢と現とで
2ページ/14ページ



俺らは愛し合っていた。


あいつの視線は俺を見るとき、柔らかくなるから、愛されているのがわかった。
俺も頬が緩んでいたらしく、沖田君に「その顔、止めて下せィ」と、生ゴミを見るような目で見られた。でもそんなの関係ない。


最初は酒の勢いで始まった身体だけの関係。
でもだんだん心も惹かれていって、俺から好きだと告げた。
あいつと両想いだと分かった時は息を吸うのを忘れるほど、驚いたし嬉しかった。
といってもあいつも同じように目を見開いて、煙草を落とし、畳に痕をついてしまっていた。

あいつといると楽しくて、でも、あいつの一番は真選組で。

それでもあいつは、仕事の合間をぬって俺と会ってくれていた。
目を瞑ればあいつとの一時が瞼に浮かぶ。

「銀時…会いたかった…。」「今日は金がねぇんだよ。…でも今度、奢ってやるから。」
「胸糞わりィ…俺以外の奴、見んな…。」「あぁっ…ぎ、ぎんときっ…」


だからこそ、可笑しくねぇか。
なんであいつが…


死ななきゃならねぇんだよ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ