小説

□部活終了後、シャワールームにて
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冷たいシャワーは焼け付く様に熱くなった身体を冷ますには丁度良かった。







「あっちィ…」

「ふざけんなよ、ったく。なんでこんな日に練習?コレはモテすぎな俺に対する嫌がらせだよね、コレ。」

「それはねェから安心しろ」

ふざけた話をしながら、日の光を吸収した熱砂を悪戯に強く踏み付ける。
そうせずには居られない程、太陽は僕達に意地悪で。


結果的に。
肌には赤い痛みを、身体には怠惰感と熱を、残した。

夏なんて、嫌いだ。

「夏なんて、大ッ嫌いだ――!!!」
「今、俺の心中、盗み見ただろ。」

「は?何の話?」

「仕方ないからパクらせてやる。代わりに、アイス奢れよ。」

「嫌だっての。つか、意味わかんねーから。」

野球部の練習が終わったため、坂田とシャワーに向かう。
部活動が終わった生徒達はそこへ集う…という訳では無く、家が遠い生徒や剣道部などの汗を多くかく部活の生徒などの少人数が使える様に出来た、小さなシャワールーム。
俺と坂田の様にただサッパリしたい生徒というのは本当は駄目なのだが、近頃はこのシャワールームを使う生徒が少なくなった(近くに銭湯が出来たからだ)ため、こっそりと隠れて使っている。

「それにしても…あちィ……」

「今軽く無視したよね、軽く無視したよね。」

元々、このシャワールームは第二校舎の奥にあるため、熱が篭りやすく、生徒達には不評だった。

夏は特に。

コンクリートが熱を吸収して異常な熱さとなる。
やっぱり夏は嫌いだ。

威圧感のある灰色の中を行けば、シャワーはすぐそこで。

自然と早足になる。

冷たい水で早く熱を冷ましたかった。








「キモチイ――…」

冷たい水の雨に飛び込めば、体が急速に冷やされていくのが分かった。シャワーから零れ出る水の線は身体を跳ねている。いつまでもこうしていたい。

といっても、この後にも予定(マック寄ったり、ゲーセン行ったり)はあるので、すぐにシャワーを止めてタオルで髪の毛の水滴を申し訳程度に拭う。肌の表面を伝ってぽたぽた落ちる雫も拭き取っていると、銀時が話し掛けてきた。

「おい、タオル貸してくんね?」

「…なんでお前に貸さなきゃなんねェんだ。」

「うわ〜タオル忘れてきた銀さんに何の感情も抱かないんだぁ〜。」

ぐず、とわざとらしく鼻を啜る坂田。なんだかかわいそうに思えたので使わせてやる事にする。


「フンッ、嘘だよ。」

「センキュー!」


まだ濡れている所をささっと拭いて、カーテンを開ける。


「坂田、開けるぞ?」

「ん、」


シャッとカーテンを引けば、もわっと湯気が広がった。


「熱いの浴びてんのか!?この暑さで!?」

「ん、そうだよ。夏だからこそ熱いのじゃなきゃ……。」

キュッとコックを捻ってシャワーを止めると、坂田はこちらを見て笑った。

「ありがとな。」

その時、俺は暑さで狂っていたんだと思う。


湯気の奥は白かった。


くるくると乱れた銀髪と熱で上気した白い肌。その細い腰とか、背筋のなだらかな曲線とか、………今俺、欲情したんだ。


え、えぇ?坂田に欲情!?
いや、ナイナイ。俺そっちの毛じゃねェし、坂田は友達だし。欲求不満ならまだしも昨日抜いたばかりだ。

じゃあ、なんでだよ!?
あの顔にぶっかけたいとか、あの胸に舌を這わせたいとか、あ、あ、え、やばい。
下が突っ張ってきたのが分かって、夢中でカーテンを閉める。


どうしたーと、坂田が聞いてくるのが分かったが、無視してシャッと個室に入って。

鏡に映る自分は、顔を真っ赤にさせて息を荒く吐いている、欲情した男だった。



あ、ああ、ッ駄目だ。
抜きたくてしょうがねェ、

早くイかせてくれと責付く下を泣きたい思いで擦った。




白濁を吐き出した後、シャワールームから二人で出たが、それからは坂田が俺の欲情の対象で。

違う!俺にそっちのケがある訳じゃなくて……多分、白かったのが悪いんだ。

シャワーの白さで目が眩んじまったんだ。


その日から俺のオカズは坂田だし、坂田以外を抱きたいとも思わなくなった。

だ、からこれはそういう訳じゃなくて!





冷たいシャワーは焼け付く様に熱くなった身体を冷ますには丁度良かった。





end
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