小説
□二息歩行
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初めて、お前を抱きしめて。
初めて、お前に口づけて。
初めて、お前を傷つけた。
勝手に嫉妬して、ナイフを投げる俺。
全てがスローモーションに見えて、嗚呼俺は傷付いてるんだと分かった。
素直に言えたのは「あの女誰?」の一言だけ。
それ以外は全部嘘。
言いたかったのは、行かないでとかごめんなさいとか。
なのに、心とは裏腹に言葉は飛ぶ。
皮を剥いで見えてきたのは、お前の柔らかい内臓で。
内臓の表面をナイフが掠った。
零れ落ちる血と共に俺達が一緒に居た日々の記憶も消えてしまうのだろうか。
あいつの傷付いた目が俺を苛む。
素直になれない俺達だから、許しを乞うつもりなんて無いけれど。
君がいないと息が出来ないんだ。
だから、
You are noble and odious than god.
――――神よりも尊く汚らわしい、君
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