小説
□紅
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土方の肩口に顔を埋めていた銀時。静寂が二人を包み込む。
「いッ!」
しかし静けさに終止符を打ったのは、忌ま忌ましい天然パーマだった。
「てめェ……何してんだ……。」
銀髪野郎は、俺の肩先に歯を立てたのである。
薄く突き出ている肩からは鮮やかな紅い血が一筋流れていて。
「痛そう。」
それだけ言うと銀時は笑った。
酷い、と言うのは罪な気がした。
自分が犯した罪科と較べれば、こんなに小さい事。
銀時を、紅を見ることでしか生を感じられなくしたのは、他でも無い俺なのだから。
「生きてる。」
そう言って笑いかける君に何が言えよう。