小説

□恋歌
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土方十四郎はマンツーマンの塾に通っている。その塾は電車に一時間程揺られ、着いた駅の前のビルにある。高校生にとってはその時間は長いため、知り合いがいる様子はない。また、マンツーマンと言ってもふたりきりという訳でなく、先生一人に生徒二人というものだ。しかし土方の時間帯は人数が少なく、一人のときが多かった。

そんなこともあってか、土方は鼻歌を歌いながら駅から出てきた。
土方は他人から干渉されるのを嫌うため、知り合いが居ないという空間が、嬉しかった。

先生は毎回同じだが、あまり話すこともないため、親しいとはいえない間柄だ。
その関係が楽で塾がたのしく感じられていた。
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