小説

□下心
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暑くて、暑くて。


今年の夏は、学生に対して意地悪だった。


沖田は神楽と一緒にバス停へと走る。


バスに乗る頃には大粒の汗が頬を伝っていた。


バスの、クーラーが良く効いてヒンヤリした空気の中、神楽は汗を拭きペットボトルの水を飲む。

沖田は飲み物を持ってきていなかった。

「チャイナァ、水を一口くれィ。」


「いいアルよ。」

軽く投げて渡されたペットボトルに口をつけて、沖田は水を飲んだ。
身体に水分が染み渡り、気持ちいい。


それを堪能すると、沖田は大切そうにペットボトルのキャップを閉めた。


「ありがたいねィ、チャイナさん。」


軽く投げたペットボトルは神楽の手に吸い込まれた。



わざわざ飲み物を分けてもらう事で、間接キスを狙う俺は馬鹿なのだろうか。



人を好きになるって、案外浅ましいんだ。





END
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