小説
□神頼み
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「おい、ヅラ...オマエ...」
「どうだ。似合うだろう。フハハハ!
あ、ヅラじゃない。ヅラ江だ。」
桂は女装をしていた。
振袖を着ている。
黒いキレイな髪の毛がいっそう引き立ち、美しい。
実は指名手配犯の桂が初詣に行くのはヤバイので、「ヅラ江」へと女装していくことになったのだ。
「に...にあってる。」
銀時はドキドキしていた。
「ありがとう。銀時。」
桂からかもし出されるモノはすごく艶めかしかった。
手を繋いで、神社へ向かう。
真っ暗な夜の道をふたりで。
数分で神社に着いた。
ちょうど除夜の鐘の音も終わって、辺りに余韻が残っている。
「銀時。あけましておめでとう。」
「あぁ。今年もよろしくな。小太郎。」
「小太郎じゃない。ヅラ江だ。」
その言葉でふと思った。
銀時の隣で歩いているのは桂。
でも桂じゃない気がする。
桂にどこにも行かないで欲しかった。
だから手をいっそう強く握り締め、神に願った。
「この人をオレは失くしません様に。」
おわり