本編

□プロローグ
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風の音だけが響いていた



水面には綺麗な満月が映し出されていた






風の音だけが響いていた



幼い少女はそこに1人で立っていた




風の音だけが響いていた












ずいぶんと長い時間、少女は立っていた


風の音に混じって、かすかに足音が聞こえてきた







「キミが・・・”ピエトゥレ・プレツィオーゼ”ちゃんだね」


「だれ?」


少女のまえに、1人の老人が現れた



「私は”ティモッテオ”というんだ」


「ティモッテオ・・・」


少女は澄んだエメラルド色の瞳で、まっすぐ老人を見据えていた




「ウチに来ないかい?・・・私の娘として・・・」











この世で1番、月が輝く夜


少女の物語は幕を開けた――


プロローグ end
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