Lie and Love
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雨が降っていた。空気が冷たくて、身震いしそうになる。
遠くの方は霧で霞んでいて、しとしと、しとしと、雨音が大きく聞こえるようだった。
息を、吸う。
少しだけ胸が冷たく、そしてちくりと痛んだ。
Lie and Love_枯れぬ涙と終焉の言葉
雨月が華威を日本に連れ帰った。とGにぽつりと報告した。目まぐるしく忙しい上にあまりにも急に決まった事故、まだGに言えていなかったのだ。
もちろん、納得のいく顔を浮かべるはずもなく。
「何故、止めなかったんだ…?」
「…。」
「お前、あいつのこと本当に――」
「やめてくれ。」
Gは言葉を切った。
長い付き合いだ。きっと俺が今、どんな感情を抱いているのかおおよその検討はつくのだろう。
「…愛してるからだ……、」
「…。」
「だから、傷づけたくない。危険に晒したくない。」
「そうだけどよ…」
「それに、俺の事を忘れて、雨月とのほうが……。」
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