Lie and Love
□17
1ページ/4ページ
―ジョット
そう耳元で自分の名を呼ばれて初めて、「俺は何をして居るんだ」という意識が目覚める。
ただ一人を愛することも出来ずに、偽りだけで「愛している」などと嘯く俺を、人は愛してしまう。
耳をふさいでも、目を背けても、このボスとしての役目からだけは背く事はならなかた。
誰かそんな醜く行く“俺”に気付いてくれ―。
Lie and Love_あの頃の桜を想ふ
ロゼーナとの交際はとても一方的なものだった。
同盟ファミリーの中でも、とても権力の強いマフィア令嬢だったロゼーナが、俺に一目惚れしたらしかった。
「どうだね、私の娘と交際してみては」
「―…」
こんな話が来るのは、初めてではなかった。
ボンゴレボスと言う肩書きを持った俺、いつの間にか此処まで上り詰めた俺に―よく舞い込んでくる話の一つ。
「…分かりました」
しかし、まだまだ力がない俺は、断る術を知らなかった。
多分同盟は解消へと進められて、最終的には敵対する仲になるとは分かりきっていた。
無益で無駄で、何の理由もない争いだけは避けたかった。
だたそれだけだったのに、いつの間にか俺は愛を見失っていた。
.