きっと、

□きっと君を、
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誠君が帰った後、あたしは以前誠君がくれた花束を持って病室を出た、
看護婦さんに花瓶を貰うため、この花を少しでも長く咲かせていたい。

「看護婦さん、花瓶ありますか?」
「あ、蒼葉ちゃん、今丁度蒼葉ちゃんに電話が―…」


―――…
―…


「…ツナ?」
《うん、そうだよ》

電話をかけてきたのはツナ。……何か…声が怒っているような気もするんだけど…
それに…

ちゃんとお前のコト好きだから…っ、お前しか見てないから…!

…あんな事言われた後だから普通に接せないって言うか…

気まずい

あたしはそんな気持ちを隠して必死に明るい声を発して
「どうしたの」と言ったのに…

《今日さ、矢乃君に言われたんだよね》
「いつ?何を?」
《蒼葉が泣いているときに》

と言うことは…あたしが泣いてたのを知ってたの…?

《"なぜ彼女が泣いていると思いますか"》
「…え…」
《"それは君が蒼葉を大切にしないからですよ"って言われた》

誠君が…ツナにそんなことを…?…どうして…。
どうして誠君はそんなことを言うの?あたしの為…?
でもそんなことは良い、

あたしが泣いてるのを知ってて、なんでツナはそばに来てくれなかったの?

それを聞いた、そして返ってきた言葉は…


《オレは蒼葉を大切にしてない?》


そんなのあたしには分からないよ―…、ツナは十分あたしに尽くしてくれてるよ?
学校にどれだけ可愛い子が居たってあたしといてくれる。

ずっとあたしなんかを好きでいてくれて―…

「うん…あたしは…大切にしてくれてると思うよ…?」

だから変に気に病まないで


今までみたいに傍に居てよ…―。


《じゃあさ、矢乃君とはなんでもないんだよね》
「…だから違うって」
《でも矢乃君は蒼葉に気があるみたいだけど―…》

なんで誠君のことばかり言うの?
誠君は大切な友達って言ってるのに、疑わないでよ―…っ。




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