きっと、
□きっと君を、
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「〜ふんっふん…」
「あら、蒼葉ちゃんご機嫌ね?」
ベッドの上で足をバタバタさせて鼻歌を歌うあたしに看護婦さんが笑って言う
そう、あたしはとってもご機嫌。
「友達が出来たの!」
「へぇ、誰?」
「えっと…、矢乃誠君って男の子」
背が高くて、足が長くて黒髪が綺麗で…右目に包帯を巻かれてる子、と付け足すと看護婦さんがピクッと動いた。
少し目を泳がせてから信じられないような目であたしを見つめる
何?何なの?…誠君がどうしたの?
「…怖くない?」
「えっ!?…全然?むしろ優しいよ」
そう、と気まずそうな感じな看護婦さん。…誠君の事知ってるのかな…
「……どうして?なんで怖いって思うの?」
聞いてみた、だって気になるんだもん
あたしに向けられた微笑は本当に優しくて落ち着くのに…どうして怖がるの?
「…人を、嫌ってるの…多分」
「なんで?どうして分かるの…?」
「目が合えば知らない人だろうが睨んで、話しかければ今にも飛びかかってきそうで…」
信じ、られない。
それは誠君じゃないよ…そんなの誠君じゃない。
だって…
「あたし、お喋りだってしたし…っ一緒に屋上で空見てた…」
あ…っ、自分で言って気が付いた。
あたし…まだ誠君の事よく知らない…もしかしたら、看護婦さんが言ってる誠君が本物…?
でも、
友達になったんだから関係ない。
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