Eternal night

第15夜
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さわさわとそよ風が気持ち良い。
さっき風に纏めてもらった私の髪が、少しだけ揺れる。
…いつの間にこれほど私の髪は長くなったのかな。
長い長い実験台としての生活の中、髪を整える事なんてしなかった。否出来なかった。


「光」

優しい声が私の耳に届いた。

「?…風、どうした?」
「いえ、…日向ぼっこをしているのですか?」
「……ひなた、ぼっこ?」

私が首を傾げると風は微笑みながら隣に座った。

「温かいですね」


陽だまりの中に入ることを、日向ぼっこと言うらしい…なら私は日向ぼっこが好きだ。
と言うよりかは、この温かい太陽のの日差しが凄く好き。
風に初めて研究所から連れ出してもらったときは、眩しくて目を細めた存在。

昔の記憶はないけれど、この温かい感覚は覚えがある。
多分、記憶を消されてしまう前の私も…この日向ぼっこをしていたんじゃないかな。


「ひなたぼっこ、」
「ふふ、…日向ぼっこ、好きなようですね?」
「…すき、?…Love?」
「はい、Love…と言うことでしょうね」


だったら私は、色々なものが『スキ』だよ。
日向ぼっこもスキ。風と話するのもスキ。外にでて風に当たるのもスキ。
沢山、“スキ”がある。
そして…貴方が私に向けてくれる優しい微笑みも、スキ―…


「風も、スキ!」
「…っ!?………え、」
「?どう、した?」




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