きっと、
□きっと君は、
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音もなく、静かにゆっくりと…あたしの唇に彼の唇が触れた。
そしてまた静かに唇は離れていった。
今の…なに…?
思わず瞑りそうになった瞳を必死に開いて、その人を見つめる―…。
「……貴方は…?誰なの…?」
『僕…は…―…僕の名前は…』
ドクン…ドクン、
『矢乃誠…いえ、六道骸といいます』
どういう、こと?
この人は、六道骸と言う人…誠君であって誠君でない…と言うこと?
「…ねぇ…骸君…、貴方がもし本当に誠君なら…」
貴方を信じてみよう。
「どうして…急に人格が変わっちゃったように…冷たくなったの?あたしの事…嫌いになったの…?」
『っ、違います…』
「ねぇ、あたし…もう一緒にいちゃダメ…?あたし…」
『違う!…僕は…まだ、君の事を想ってます…!!……しかし蒼葉…
僕は…もう矢乃誠としていられないのです…』
まだ、分からない。
「なんで?…貴方と誠君は…どういった関係なの?…分からない」
分からない、貴方が誠君で…あたしから離れた理由。
じゃああの別人のようになった誠君は…?誰なの?
教えて、“誠君”。
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