Eternal night
□第28話
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「!…おい…?」
歩き出した。
ルーチェがチラリと私を見て、小さく微笑んだ。
そして手招きをして私を呼んだ。
「手、握ってあげて?」
言葉も分からず、視界も不自由で、記憶がない―どう接してどう進んでいけばよいかわからない。
それでも私は、通じたかった。
「光…」
「……風…」
私が少女をとっさに少女を光と呼ぶと、ルーチェは切なげに私の名を呼んだ。
それは同情ではなく、共感の声に思えた。
手を握る。ルーチェの体温がまだ残っているのか温かかった。
少女が握っていた十字架が少し当たってひんやりとする。
彼女は、ピクリと動くと十字架を思い切り握り締めた。
跡がつくほどに、きつく。
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