きっと、
□きっと君は、
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「骸様」
「おや千種、どうかしましたか?」
「彼が“帰りました”」
「…そうですか、」
ランチアのことだとは、千種が部屋に入った瞬間悟った。そして、やはり、と言ったところでしょうか。
さっき僕と千種が様子を見に行けば、丁度沢田綱吉がランチアの蛇鋼球を受け止めた場面だった。
そして千種には、勝者を確認してもらう為に残ってもらい、もしランチアが戦闘不能となれば「帰った」と伝えるように言った。
全ては、蒼葉を巻き込みたくないが為。
「…ランチアさんも、帰っちゃったの?」
「え…。何故彼の名を…?」
「教えてもらったの!何か骸君の偽物…だなんて言ってたけど、ちゃんとした名前を聞いたの」
彼女が此処まで入り込んでしまったなんて、思ってなかった。
「ねぇ、偽物って――」
「蒼葉」
「あ……ごめんなさい」
千種が静かに部屋を出た。
これから僕が、彼女を裏切ってしまうのをしっているから。
ここは君が踏み込んではいけない世界なのです。
こんな汚れて醜いマフィアと、一緒の世界に在ってはならない…―
だから巻き込みたくなかった。
なのに、もう随分知ってしまったのですね。
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