book11


□あなたと歌う夢を見た
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揺れる視界の果てに、何か懐かしいものを見た気がした。


それは確かに手の中にあった…否、居たはずだった。
抱き締めて笑いあって喧嘩をして。
そして…時々お前が口遊む歌に気づいてて
内心癒されてたりして…。

混沌としていた生活の中で、其れだけが救いで喜びで
ずっと…ずっと続くと思ってた。
そう…思っていたんだ。

そんなこと思うなんて可笑しいことなのにな…。
だって俺らは混じっちゃいけない存在なんだぜ?
敵同士で何で…好きになったんだろうな?
それに気づいてても…止める事なんて出来なかったんだ。
この感情を止める事なんて出来なかった。
それなのに…。



お前の存在を…知ったんだ…。



それを知った時。
特に何も感じなかったんだ。
感じられなかった?だって
お前は目の前にいるのに…居ないなんて言うから…。
冗談だと思うだろ?
この世には存在しないなんて言うから。

訳が分からない。

正直な所…何処かで、頭か心の何処かで分かってたのかもしれない。
だって…見てきたんだから。
敵とは言え、データとしてかもしれないけど。
見ていたから。
どこかおかしいのは…きっと気づいていたんだ。
それを誤魔化していたのは自分なんじゃないか?

そして…お前が消えた日。
俺はどんな表情をしていたんだろうな。
お前はどんな表情をしていたんだろうな
なぁ?





揺れる視界の果てに、何か懐かしいものを見た気がした。



銀色の髪を揺らし楽しそうに歌を口遊む横で
一緒に…歌を歌っている夢を…。




『あなた(お前)と歌う夢を見た』











あぁ。お前は今でもその歌を歌ってるのか?












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風に響け』様に参加させていただきました。
どっちかっていうと…
バンアツな感じで書かせていただきました!
共存で南アツでって言う。
歌って言うよりも鼻歌な感じですかね?
晴矢の耳に残りそうvv
では。素敵企画に参加させて頂き
ありがとうございました!!






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