book11


□これから先も
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炬燵に入って他愛のない話をして
年越し蕎麦とか言って近くのコンビニで買ってきた
蕎麦を啜りながらテレビを見ていた。
あぁ。後数時間で今年が終わるんだなと思いながら。
コイツと一緒に過ごしてやっとこ一年…
だよな。付き合ってから…何年だか?

「晴矢?どーしたか?」
「んー…いやぁーもう年明けんだなぁーって」
「そーだなー…一年早いな」

懐かしむような表情で考え込むから不意に笑みが零れた。
それに気がついたのか頬を膨らませて睨みついてきたから
何でもねぇーよ。なんて返すけどきっと
この答えじゃ気に入らないんだろうな。
まだ、睨んだまんまだ。
このまま、睨まれ続けるのも嫌なので弁解するも
機嫌は治らないみたいだ。

(此れはまずいな…)

炬燵から出てアツヤの隣へと座り込む。
未だに膨れている頬は顔がにやけてしまうほど可愛くて
思わずキスしたくなるも、此処は我慢しておこうか。
まずは、機嫌を治すのが優先。

「そんなに拗ねんなよー只、可愛いって思っただけなんだけど?」
「……は…?」

その言葉だけで一気に顔が紅くなるのを
見て今度こそ顔がにやけた。
勿論って言うのも可笑しいけどアツヤはご立腹。
けど先刻みたいなご機嫌斜めではないようだ…
顔真っ赤にさせても説得力ねぇーし。
そっぽを向いてしまった横顔に軽くキスをすれば
更に顔が紅くなる。くちはパクパクと動かして金魚みてぇー。
それにしても…炬燵出たまんまだったから寒い。
戻るのも面倒なのでアツヤの身体を少しばかり押しのけて炬燵に入って
温まってれば意気なり頬に手を添えられて無理矢理アツヤの方に向かされた。

「いってぇー!!!!!おまっ何してんだぁ!」
「うっせぇー!馬鹿、晴矢ぁぁ!!何なんださっきから!」
「言ったろ。可愛いって言ってんだ…っ!!!!」

「……………ホント馬鹿…」

目の前の顔は未だに真っ赤なままで
きっと自分も顔紅い…すっげぇー熱い熱くてどーにかなりそう。
二人してお互いの顔が見れなくて数分位間が開いたか?
先に見たのは俺の方で、それに気付いたアツヤが目を合わせたけど
直ぐにまた伏せてこっちを見ようとしないから伏せてままのアツヤを
下から覗き込んで…そのまま唇を重ねた。
最初は目を見開いていた表情がだんだん艶を帯びて静かに瞳が閉じた。
それから静かに離して小さく耳元で呟けばお返しとばかりに
俺の肩に顔を乗せながら一言これまた小さく呟いた。
その言葉が嬉しくて抱きしめれば、腕が背にまわされて温かさが伝わってきた。


微かに除夜の鐘が聞こえる中で
また、唇を重ねた。










『これから先、俺の傍に居ろよ?』
『当たり前だ…馬鹿』















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