book11


□「……い、やじゃない」
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※注
少しR指定要素を含みますので
苦手な方は気をつけてください


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陽が落ちて部屋の中に涼しい風が入って来た。
自分の背中には壁があって
今まで読んでいた雑誌が足元に広がっている。
淡々とした空気のせいなのか瞼がゆっくりと堕ちていく気がした。


そんな中、視界に入って来た赤い髪。
頭を撫でられる感じがした。
心地良いと感じて自然と口から零れた、そいつの名前。
呼べば、なんだよ?なんて表情してるから


それはこっちの台詞だ。


と、頭の上に乗せてある手をはらいながら言うと
何も躊躇いも嫌な顔もしないで隣に座る。


「なんだよ…気持ち悪い…」
「ひでぇー…ただ、可愛いなーとか思って撫でただけなんだけどなー」
「…っ………気持ちわりぃっての」
「そのわりに、顔…赤いけど?」

うるせぇ!馬鹿っ!!
と返して、肩の辺りを軽く叩いた後
うずくまって顔を隠した。
多分きっと、耳まで赤くなっている気がする…。
顔中が熱くて仕方ないから、きっとそうだ。
不意に頬に指が触れた気がした
少し顔をあげて見てみれば晴矢の指が頬をなぞって、アツヤー?なんて
それでも視線を外せば指が増えて耳元に…
頬を撫でるように…

次の瞬間髪を掻き分けるように掌が滑り込んで来てびっくりして顔をあげて見れば
やっぱり晴矢の掌で何を言うわけでも無く近付いてくる顔に思わず目をつぶった。
それと同時に唇にふにゅっとした温かなものが触れて…
多分でもきっとでもなく確実に晴矢のだと確信をした…。
軽く触れただけのソレが離れたと思った瞬間また重なる感触。

(ん…!!)

違和感を覚えた…。
隙間から舌が入って来ていると感じて
晴矢の両腕を掴んで抵抗を試みるも壁に押し付けられて敢なく失敗…。
離す気が無いのか何度も何回も角度とか変えてくるし
だんだん自分も…どうでも良くなって来て自ら舌を絡ませて抵抗していた腕はいつの間にか晴矢の背中に廻ってて……。



少し離したらまた重ねて…
暫くして軽く触れて唇は離れていった。


「…ぁー……今更なんだけどよ……嫌…か?」

困ったような照れているような表情をして髪を掻きながら晴矢が問いかけてくる。
その問いに“何が?”なんて愚問だろうな…
それにしても…

「…今更だろ…ホントに」
「だから言っただろ?…で、アツヤ…嫌か?」

意地悪そうに
顔を近づけながら
問い掛けてくる…その表情は反則だと思う。
そんな表情で聞かれたら答えなんか決まってんだろ?
ひとつしかねーんだよ



「……い、やじゃない」








(……拒むわけ、ねぇーだろ…ばぁーか)

(っーーー!!!!)




再び唇を重ねて


背に廻した手を指を絡ませて



離さないで




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スノーエンジェル』様にて参加させていただきました!
ちょっと、それなりに甘くしてみました。
題が「……い、やじゃない」でしたので…
少し…気持ち裏雰囲気を醸し出しつつ。

では。企画参加させていただき有難うございました!
吹雪兄弟、大好きです!




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