book11


□愛の逃避行みたいで愉快
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注:勝手ながら捏造設定←の設定を
使用させていただいております。
初めにお読みいただけたら幸いです。




暗い中で小さな振動と音が時刻を教えた。

目が覚めて時計を確認すれば午前5時。
外はそれなりに暗くて、周りが闇に包まれたみたい。
まだ眠い目を擦りながら起き上がってベッドからそろそろと出る。
そして、少し離れた場所に寝ている人物のベッドを覗き込んで…起きているかの確認。

(…いない……起きたかな?)

見れば、ベッドは空。
きっと、あの人の事だからこんな時くらい早いだろうなんて巡らせていれば部屋の扉が開いた。

「ぉ。勇気、おはよ!」
「あ。おはよーございます……やっぱり起きてました?」
「そりゃーな」

行き先が行き先だからな!って
まるで遠足でも行く小学生のような表情を浮かべて。
思わず自分も楽しくなって笑みが零れた。

「そう言えば…ご飯どうしますか?」
「んー…コンビニ?」
「に…なっちゃいますねー」

本当はきちんと食べて出掛けた方が良いのだけど…
きっとそれじゃ遅くなってしまうから。
二人して仕方ないといった表情で苦笑した。
じゃあ準備しちゃいましょうか。と
服を着替えて、歯を磨いて、顔を洗って…
持って行く荷物を整えていると…
ふと、テーブルの上にラップが掛かった御皿を見つけた。
何だろうと思い見てみれば中にはおにぎりが二つと傍には紙が一枚。
『ちゃんと食べていくように! 戸田』
と書かれていた。

「綱海さーん……これ」
「おにぎり…あー…バレバレ?」
「見たいですね」

出掛けるなんて事は一言も伝えては居ないけれど…
きっと行動とかそういうので感づかれたのかな、と思う。
それに対してやっぱり敵わないなぁーなんて笑いながら
二人して食べて、隣にあった紙に一言付け加えて
玄関へと向かって小さく



“海へ行って来ます!!”



扉を静かに閉めて。
まだ、うっすらと暗い道を歩いていく。
何だか…それはドキドキしてて楽しくて。


ふと、綱海さんが一言。


「何か、愛の逃避行!て感じだな?」



何て変な事言うから、一瞬にして体温が上がった気がした。
もう!行きますよ!!なんて言って腕を引いて
少し早く歩く。
後ろで笑い声が聞こえた気がしたけど、振り返ったら
得意気な表情をしていると思うから振り返らずに真っ直ぐと…。


それでも…
嬉しいと思ったのは心に秘めておこう。





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後書き。
四月馬鹿にご用心!にて参加させて頂きました。
『愛の逃避行みたいで愉快』と言う事なのですが…
お題にあってるかな?といった感じです。
隠してるつもりでもこの二人だったらバレバレですvv

参加させて頂き有難う御座いました。


霞。


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