book11


□残された温度
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肩に寄りかかってくる重さが、その存在を意味していた。
隣で他愛も無い会話をしていたのは数分前…。
それから何時の間にか穏やかな雰囲気が流れて気がつけば
その、楽しそうに話していた表情は瞳を閉じて
規則正しく寝息をたてていた。

「……アツヤ?」

声をかけても起きる気配は無く。
いつもと違った表情がそこにはあって。
少し開いた窓から流れ込む風によって、さらりと髪がなびいた。
力も無く只うな垂れてる腕はいつの間にか自分の手と重なって
熱が伝わってきて…何だか……

(…あったけぇー…)

安心感と恥ずかしさで体温が上がりそうだ。
ふと、目元に滑り落ちた髪を指で払うと唇に目がいった…。
普段だったら此処から罵声が発せられるのだけど
今は可愛くて仕方ないな。
そのまま、惹き込まれる様に顔を近づけて…



触れるだけのキスを…。


と、同時に虚ろ気になりながら瞼が開いて
金色の瞳が姿を現した。


「……晴……矢?」


思わず殴られるかと思って構えた腕は予想外に無駄に終わった。
伸びてきた手は頬に添えられて
唇を重ねて、微かに笑いながら…



また。



瞳は閉じられた。






(……俺はどーすればいいんだよ)








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