蒼い少女紅い林檎

□ロンド
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いつもの癖で、真太は優梨子に、ごく軽い気持ちで電話した。
通話中である。
一瞬、彼には状況が飲み込めなかった。
−ああ、そうだよな。
と真太は思った。
優梨子はいつも待っているように、嬉しそうに、明るい声で電話に出るのだ。
その声が、春に啼く綺麗な鳥の声のように
心地よく耳をくすぐっていたのだ。
無愛想にも見えるけれど、笑顔が飛び切り可愛いのだって知っている。
電話の向こうに陽炎のような綺麗な笑顔が見える。
、、、男は未練がましいものだ
誰かが言っていた。
毎日
電話を待つ女。
可愛い、ネコのような
人見知りの女。
、、、もう、俺の電話なんて待ってないんだろうな、、、、
きっと、あの男の電話を、恥じらうような笑顔で待っているのだ。
ギリギリ胃が締め上げられるようだ。
、、、忙しくて夢中で
何も考えられなかったのだ。
駆け昇る事だけに夢中で。
言葉の端々に
さびしさの浮かぶ女だった。
孤独で、真太だけを頼るような
会ったこともないような
優しい可愛い女の子だったのだ。
もう一度かけてみる。
、、、通話中だ。
自業自得だ。
、、、

握ったシャーペンが何気なく動く


電話をするのを諦めて
ノートを見た真太は

「畜生!どいつもこいつも!」
携帯をなげすてた。


ラフスケッチは
フンワリしたボブ
白い可憐な花のような

蒼樹紅




マドンナ、(マリア)は紅い服に青いマント、白い百合
糸紡ぎ
毛糸カゴ
が定番らしいですよ、、
あと白い鳩。
どう考えても優梨子より優しい、可愛い女の子、てキミには居ない、、永遠に。可哀相な二人。
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