蒼い少女紅い林檎

□ロンド
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蒼樹さん、、優梨子さん、は漫画を愛するひとなのだ。
僕は今、一生懸命漫画を読んでいる。
DEATH NOTE、、中々面白い。心理ゲームみたいだ。東野圭吾、も好きだがこんなのも好きだ。
僕には、どうもスポ根という分類が苦手だ。
それよりナンセンスギャグのほうがよい。
そしてまた、蒼樹さんセレクトの少女漫画。
いい。
寧ろ、僕にはこちらのほうがいい。
蒼樹さんの内面のような
清楚でサラッとした少女が出てくる漫画がいい。
、、、実際の蒼樹さんが、、妖精のように可憐なのに
かなりのナイスバ・バ・バディーなのも、最初見た時から知っている。
どうしても男はソコに
目がいってしまうものだ、、、
そしてその上の愛らしい顔。
時にクールに時にハニカミ、
もう、ギャップ萌えとはこの事だろうか?
美人に僕は弱い。
酒にも弱い。
僕は働きたくないし、ありとあらゆる誘惑に弱い。
けれど
蒼樹さんは特別なんだ。
こうして蒼樹さんが
あの綺麗な上品な顔で描いた
青葉の頃
を読み、風にまくれたスカートを押さえる、恥じらう乙女、、
蒼樹さんそのものじゃないか。
もっとも、蒼樹さんのほうが
もっと
、、、なんというかグラマラス、で
清楚で
可憐だ。
僕は蒼樹さんの事ばかり考えている、、、
マズイ。
吉田がやってくるぞ。
あいつに目をつけられちまったからな。
働かなければならない、、。
携帯が鳴った。
蒼樹さん、の着メロだ。
優雅なアリアだ。
「平丸さん?」
「は、はいっ!蒼樹さんっ!」
「お仕事ははかどっていますか?」
「いえ、!!あー、ネームなんてスグですよ」
「、、、、、私は中々進まないです、、」
「では、、えっ!今週もデート無し!?せめて少しお茶でも」
「、、、そうですね、、ネームに、詰まった時は気分転換が必要かも」
こうして、僕は優梨子さんをポルシェで迎えに行き、表参道ヒルズに車を入れた。
ブルガリ、、、
きっと、ここのチョコレートを食べたら、優梨子さんの頭のモヤモヤもスッキリするはずだ。
そして僕は優梨子さんの横顔や白いブラウスから覗く二の腕の豊かな白さを見ながら癒されれば、それでいい。
「夏ですね」
優梨子さんが言う。
「ええ」
少し汗ばみながら僕は答える。
「男性は、、何をプレゼントに貰うと嬉しいでしょう、、、高価なものでなくて」
も、もしや僕にプレゼント!?
「蒼樹さんがくれるものならなんでも、、僕は実は時計、が趣味で、クロノグラフ、とか好きだなあ、、パネライとかも好きだなあ」
僕が時計の話をしだすと
蒼樹さんはフフと可憐に笑い
「福田さんに」
と言う。
「えっ!福田くん!?」
僕はズンと落ち込んでしまう。
「もうすぐ誕生日ですし、、去年もペン、とか実用品だったんですけど」
そう、優梨子さんと福田は仲良しなのだ。
「福田さんも、ただの漫画バカ、ですし、、」
小さなため息を聞いた気がしたのは暑い夏の錯覚だろうか。
「今年、はインクにしようかしら、、、」
梅雨の晴れ間の青い空を見上げながら、優梨子さんは呟く。
きっと福田と優梨子さんは、誕生日にプレゼントを交換したり、もしかしてクリスマスプレゼントを交換したり、もしかしてもしかしてバレンタインにチョコあげたり、していたかもしれないのだッツ!!
「優梨子さん、、福田くん、て貴女にとってなんなんですか?」
優梨子さんの向こう側が透けるような色素の薄い瞳が、チラ、と僕を見る。
僕はその、誘惑の視線から逃れられない、、、
考えると福田は男として異常である。こんな、魅力的な蒼樹さんと、ただの「仲良し」だなんて。
優梨子さんは鈴を振るような声で、そっと呟く。
「福田さん、、私、尊敬していますけれど」
僕は紅い唇を見つめる。
ゆっくり、と優梨子さんは言う。
「非道い人なんです、、、」
その横顔は、抱きしめたいほど孤独だった。
僕は福田くんに嫉妬している。
優梨子さんに
こんな顔をさせる男。
あの男にだけは

負けるものか、、、
競争なんて嫌いなんだ。
バカらしい。
でも
あの男には
負けたくない。



と頑張る平丸さん?
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