蒼い少女紅い林檎

□ピーピング
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平丸の超高級デザイナーズマンションに呼ばれた福田は、エレベーターに乗りながら悪態をついていた。
−耳鳴りがするぜ。畜生
大体、なんでクソ忙しいこの俺がこんな処に来なきゃいけねーんだよ!
とは言え、
「都合のいい時だけ福田組なんて言って狡い人だ」
と平丸に詰られたら仕方ない。
−男同士、語り合いたい、てか
平丸さん、は福田にとって蒼樹嬢同様、つかみ所のない人間だ。とくに、自分のような漫画バカから見れば、「いっさい漫画を読んだ事もないのに、面白い漫画が描ける事」
−あれで結構、漢らしいんだよな
アニメで当たれば、こんな生活も出来るのか、と福田は思った。
大理石張りの廊下、意匠を凝らした照明、玄関にはクラークも居た。
「ちわっス」
「ふ、福田くん!よく来てくれた!!」
平丸は抱き着かんばかりだ。
「スゲー、、かっけースね平丸さんち」
福田はずんずん進んで行く。
「スゲー!何この無駄に広いリビング!はあ?アイランドカウンターキッチン?誰が料理作るんスか!?」
「そ、それなんだよ、福田くん、、」
「無駄だな〜。こんな広い部屋に一人で住むなんて!」
「その通りなんだよ、福田くん、、僕がどんなに孤独かわかるかい、、」
福田は泣き事を言う平丸に構わずに部屋から部屋へずんずん進む。
「うわっ!キモ、、」
平丸が怪訝な顔をしている。
「タレパンダ、、、そっか。タレパンダ世代か」
「可愛いだろ福田くん、寝室のキングサイズのベッドにもキングサイズのがあって、、」
「ふん!」
福田が放りなげたパンダを
「ああっ!優梨ちゃん11号ちゃんが!」
平丸が必死にキャッチした。
「?はあ?」
福田が、全く同じに見えるパンダを次々に投げると
「おお、優梨ちゃん12号、13号、、」
と次々に拾う。
「大切にしてくれたまえよ!」
福田はニヤリと笑って
「こいつは?」
「11号ちゃん」
「じゃコレは?」
「13号ちゃん」
平丸は答える。
「ゆりちゃんねえぇ、、ハハッ」
福田が笑い転げながら、扉を開いた。
「、、、仕事場か。ひれーな」
「ま、まあね、、ハッ」
平丸は少し慌てた。
「とり散らかっているからココは、、」
構わずに福田は
「平丸せんせーの仕事場きょーみあるなあ」
踏み込んでいく。
白い壁には、一面、
「蒼樹紅」の写真だらけ貼ってあった。
少し淋しげな姿、
福田が見た事もない憂愁の表情の姿
そして笑顔。
「な、なんなんだよ!コレ?蒼樹嬢だらけじゃねーか」
頭がクラクラしそうだ。
平丸は少し青ざめながら
「そうだよ、、全部蒼樹さんだ」
「、、、ふーん」
福田はパソコンデスクを見た。
「いーいパソコン持ってるな!インテルの一番いいヤツじゃねーの」
「速いし綺麗なんだよ!」
「ふん、最近使ったファイル、、と」
「あっ!!福田くんそれ開いちゃいけませんよ!」
「ヒヒッ!どーせエロいの入ってんだろ見せろよ!」
平丸の手を福田が押しのけた。
「こ、これは!僕だけの、、」
「何だよ!!」
福田は素っ頓狂な声をあげた。
「、、、蒼樹嬢だらけ、、なんだよ!これ盗撮じゃねーのか!?あんた、ストーカーなワケ?」
大きな声で怒鳴り散らしながらも、福田は次々に画像を開いていた。
服を着替えようとする蒼樹紅
洗濯物を干す、キャミソールの蒼樹紅、しかもタオルの影にパンツを干そうとしている、、
「おっさん!コレ犯罪だろ!!」
「ち、違いますよ、、おっさん、なんて失敬なヤツだな」
そう言いながらも福田は画面に目が吸い付けられる。
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