百年、待っていてください


□百年待っていてください
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悪魔のような、あの人が
私の救世主だった。
何故、あんな
素直に
お願いします!なんて言えたのかしら

私の頭はわかっているの
あの人が現れた時から、何が起こるのか、
ちゃんとわかってはいるの
心理学の先生が教えてくれた
私があなたにひきつけられるのは、一体何故か、って
でも人智を越えた
この想いは何?

「降りて来いよ!今すぐに!」
あの時、慌てた私は何も持たずに外に出た
あなたは自分のヘルメットを私につけて
「乗れ!」と言った
いつもの私なら、違反行為です!と言う所
しかも、これじゃあなたが危ない
有無を言わさぬ、あなたの真剣な顔に
私は覚悟を決めていた
ふたりで、行こう
ふたりで、どこまでも、行ける所まで
例え、そこが地獄であっても
悪魔みたいなあなたには、本当は天使みたいなあなたには、
この世の規則なんて
全く役に立たないから

見かけより、がっちりしたその背中に
私は必死に取りついた
あなたの洗いざらしの
シャツの匂い
風を感じて
あなたを感じて
スピードに乗って
景色が流れ
ふたりも流れる

恋っていったい何なのだろう?
私の頭は知っている
私達は遺伝子の乗り物
あなた、に惹きつけられる訳も

久しぶりにうつくしい星空を
宝石箱の中身のような星空を
あなたが見せてくれた
少し寒いけど
あなたが貸してくれた
あなたの匂いの染み付いた、ライダースジャケットが暖かい
一緒に寝転んで
天体観察
あなたは幾つも星座を知っていて
私はそのトレミーの星座の話をして
「降りは飛ばすから、びびるなよ!」
大丈夫、あなたと一緒だから
一緒に風に
なれるから

心理学の先生が言っていた通り、
ひとは温かいものを求めていくの
手をつなぎ
次に温かいのは?
そう、唇
その、次に、温かいのは?
そう、身体
私だって、知っているの
でも
こうして
あなたの背中の温もりで
私は満たされてしまう

壊れそうな、ガラスの心
あの星よりも綺麗なものが
私は、欲しい
永遠が、欲しい、、

今、あなたが愛しくて
今、とても満たされて

私は私の全てを捧げたって、いい、、

今、あなたが愛しくて
明日、はいったいどうなるの?
流されてしまいたい、、

今、あなたが愛しくて
今、私が手を離せば
今、私は確実に
幸せなまま、
逝けるでしょう?

私がそんな
永く続く幸せを持っていられるなんて
私は到底信じられない
この気まぐれな、あなたが
私をずっと愛してくれる
そんな事、どうやって
信じればいいの、、

今、風を感じて
今、とても幸せで
今、私があなたから
この手を離してしまえばいいの

今、逝ってしまえれば
永遠に幸せなままで、、

ああ、馬鹿な事ばかり、
考える

手をつなぎ、
唇をあわせ、
身体を重ねる
ひとは温かいものを求め
そうする事は知っている

でも、あなたの見せてくれる優しさは
綺麗すぎて、眩しすぎて
今、が一番幸せだったら
私は、今、この手を離す
永遠の地獄に堕ちてしまうけど

私の好きなメルヘンの世界は
現実では色を失ってしまう

頭では、ちゃんとわかっているの
恋していれば
どうなるか

壊れそうな私の心
綺麗なまま、
幸せなまま、
このまま時が、止まればいい

今、私は手を離し
本当の風に、
なるかもしれない、、、
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