福田くんの受難

□To Love 白の苦悩
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、、、やっぱりフラれたのか。
そういえば中井さんだって、ひっぱたかれたって、、
福田さん大嫌いだし、とか言われたらどうしよう。

ネームを描き終えた俺は悲観的に考えるようになった。
「福田くん。今回のネーム凄く面白いよ。新女子キャラの小百合ちゃん、結構ネットで人気なんだけどさ、このコが人間兵器でキヨシをぶちのめす、て意外なラストだなぁ。へぇぇぇ」
雄二郎が褒めてくれてもなんだかいつもの調子がでない。
「福田くん、、アレ?蒼樹くんとなんかあったわけ?」
雄二郎が探るように見ている。
「だいたいさぁ、嫌いだなんて言ってさぁ、実は手を出しかけてひっぱたかれたとかじゃないの?」
ぐぐぐ、と俺は眉間に皺を寄せながら耐えた。
「小百合ちゃんてモロ蒼樹くんだしさぁ」
「うるせぇ、黙れ雄二郎!」
俺が飛びかかりそうだったので雄二郎は後ずさった。
「図星、、だろ。何フラれたの?君らしくない落ち込むなんて。相談のろーか。一応君より年もずつと上だしね」
「んなこと、、」と俺は口を尖らせたが、
「はああー」
とため息が出て話し出しちまった。
「いやサ、なんか二人でいい感じだったんで、つい、、」
「つい?」
雄二郎さんと安岡が覗きこむ。
「、、そのぅ、ついチューしちゃったんだけど」
「ふうん」
「あっち、、初めてみたいで」
「、、で、ひっぱたかれた?」
雄二郎さんがふーん、と考え込んだ。
「吉田さんがサ、平丸さんと蒼樹くんくっつけようとしてて、いろいろ分析してたけど、、」
「え!聞き捨てならない!」
「あの手の女性は押しに弱いって」
「だから、押して失敗したんじゃないスか」
「いや、ただ単にびっくりしただけだろ。、、それにしても彼女いくつだっけ、もー特別天然記念物だねぇ。、、ま、野生動物てなづけるみたいに、ゆっくりやるしかないんじゃない?、、あ、短気な君には無理か!」
「、、結構抑えてたつもりなんだけどなー」
くたっ、と俺は机に突っ伏した。
こんな事も初めてだ。
「おいおい、作品に影響が出ると困るよ。僕も協力するよ」
安岡が口を挟む。
「いつもだったら毎日やりとりしてるんですよ。それがもう丸二日ないんで先生ヤキモキしちゃってんス。ストーカーついてないか、とか部屋に引き込まれたりしないか、てなんかパパみたいに心配してるんスよ」
「ブッッッッ」
思い切り雄二郎に笑われて俺は真っ赤になった。
「いや、ホントいつもあいつストーカー二三人引き連れてるんだよ!一緒に出かけてちょっと目を離すともうナンパされちゃってるし、、あの女は外でちゃいけねー」
「ブッッッなんかめちゃくちゃな事言ってるな。そうだな、とりあえず詫びのメールでも一言送ったら」
雄二郎さんがそう言った。


うん、嫌いだとか毒づいたからお仕置きだ
福田くん

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