福田くんの受難
□氷王子
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中井さんを嫌いではなかった
あんなヤツだけど十年後の俺かも知れねえ、と思うとムカツキながらも頑張ってほしかった。
−−中井さん大嫌いだし
あいつが言った嫌いという言葉はなぜか心にささる。
あの雪の日の光景は忘れない
中井さんの後ろから傘をさしかけるあいつは聖母みたいだった
良かったな、という気持ちに少しだけ毒が入っていた。俺には天使なんていないからな。
あいつは優しい女なんだ。
ストーカーみたいな奴でも男見せれば手を差し伸べてくれるんだ
氷みたいな女だと思った
それはとんでもない間違いだった
雪だ
真っ白でだれにも踏み荒らされていないふわふわの雪の野っ原だ
そして春になると優しく溶けて地に染みる
俺はその綺麗な野っ原に足跡をつけてぐじゃぐじゃにしたい、ただのガキ
俺はたぶんあの雪の日にヤラレちまったんだ
でもあいつに好きだなんて絶対に言えない
俺とあいつの間には深いクレバスがあるんだよ
もしも、、、もしもあいつを手に入れることができたら、、、
氷の中に閉じこめてしまおうか
なんか福田くんは好きとか絶対言わない気がしてならないが
どーなんだろう
ま、蒼樹嬢かなんかまたやってくれるでしょう
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