テイルズ学園

□転校初日
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私はある教室の扉の前で大きく息を吸い、そして吐いた。

私立テイルズ学園。
今日からここがわたしの第二の母校である。

転校初日。ここでうまく馴染めるかどうかが、私の学校生活の運命を握っている。
なんでもすごく個性的なクラスらしいので、その点ではすごく不安だ。

ガラリと、扉が開いて、担任の先生が出てくる。


「入ってきてくれ、紹介する」

「あ、はい」


クラトス先生、だとか言ったか、この先生。
緊張で手汗をかきながらも、壇上の上に登り、ふう、と息を吐いた。


「初めまして、一条春菜です。よろしくお願いします」

ざわざわと騒ぎ始める教室内。

「おいおい、コレット、ジーニアス、転校生だってよ!」

「そだね、とっても可愛い子だね!」

「んも〜ロイドもコレットも、はしゃぎすぎだってば。すごく緊張してるじゃない?あの子」

なんだか歓迎されている感じで、少し緊張がほぐれる。

「では、お前はロイドの隣の席になる。あいつに色々、この学園のことは教えてもらえ」

「あ、はい」

なんかクラトス先生適当な感じがするのは気のせいなのかな。
私はこっちこっち!と手を挙げる元気な茶髪少年の横に座る。

「よろしく、えっと…」

「俺のことはロイドって呼んでくれ!こっちはコレットで、こっちがジーニアス。皆友達さ」

可愛いブロンドの女の子と、シルバーの男の子ににこりとされる。

「よろしく。私は春菜でいいよ」

「分かった!なんでも困ったことがあったら言ってくれよな!」

「あ、じゃあさっそくだけどロイド、頼みごとがあるんだけれど…構わない?」

















「ありがとう、ロイド。付き合ってもらって」

お安い御用さ!と輝かしい笑顔を向けるロイド。
まだ転校したてで、校舎内のことが全然分からないのだ。
なので、学校の案内をしてもらっている。


…それにしても、ヤバイ、ヤバイよロイド。


ロイドの笑顔に、惚れてしまいそうだよ。


何を隠そう私は、まだ一度も男性とお付き合いしたことがない。
中学校は女子高だったし、男性の免疫もない。
そんな私がはまったのは、恋愛小説だ。
もちろん、一番好きなのは王子様キャラ。
話の中のキャラクターにのめりこみながら、いつかはそんな人と恋、というものを味わってみたい…そんな夢がひっそりとあるのだ。
ロイド・アーヴィングというこの男は、まさにそんな小説の主人公にとても近い!!(※彼はTOSの主人公です)
更に転校初日で不安な時になんでも頼ってきてくれ、と言われれば…好きにならない女の子はいなくないか!?(※彼は攻略王です)

真顔の裏で鼻血を流しながら親指をぐっとたててておく。


「え!?なんか鼻血出てるけど大丈夫か!?」

「大丈夫だよ心の中でだもん…ってええ!?本当に出てるぅ!!」


ロイドが驚く傍らで、思わず近くの女子トイレに駆け込んだ。
わ、私ったら!!本当に出してしまうなんて!




…っていうか、これから1年ロイドと一緒に同じクラスで過ごせるのって幸せすぎじゃない?


鼻血をふいて女子トイレから出てきた私の顔を、心配そうにのぞき込むロイド。


「大丈夫か?」

「う、うん、もう平気。ごめんね、ちょっと疲れたのかな?」

「そうかもな。どうする?あとは三年校舎だけなんだけど…今日はやめとくか?」

「だ、だめ!!」

「お、おお、そっか…?」


ロイドと一緒にいれる時間が少なくなってしまう!と危機感を感じた私は思わず引き留めていた。

なんか、ちょっと必死すぎてキモイやつになっちゃったけど、ロイドはじゃあこっち、と案内を続けてくれた。


「三年生にも、俺の友達けっこーいるんだ!紹介しとくよ!」

「へえ、そうなの。ロイドは人望があるのね」

「へへ、まあなっ!春菜はちょっと変なやつだけど、可愛いし、すぐ人気者になれるぜ!俺とも気が合いそうだし、これからもよろしくな!」

「あ、ありがとう…そんな、可愛いなんて…」

ん、変な奴?
と、少し気になったが、ロイドに可愛いって言われたことで悪い情報全てがかき消される。

「あのクラスはいろんな面白い奴がいて楽しいぜ!またみんなのことも紹介するよ!」

「うん、個性的なのは十分わかったかも…」


なんて他愛もない会話をしていると、もう三年校舎のようだ。
へぇ、一番左側の棟なんだね。
それにしてもこの学校は。隅々まできれいだ。
転校する前に聞いたが、なんでも国の有力者の息子もいるため、懐は潤沢らしい。
ま、そんないいとこの坊ちゃんを入学させるようなところだ。
元からしっかりしているのは当然だろう。


そこで、ふと。

少し遠目に、綺麗な紅が近づいてくるのが分かった。

近づいてくるにつれ、私はその人に釘付けになった。

とても、美しい顔立ち。きめのこまかい肌。少し妖艶な目。

どこをとっても、美青年、としか形容ができない人物。


目をまんまるにして、それに見惚れる。




…やばい。

…ド、ドストライクだ。





うっ、鼻血が!

出そうになったのを、なんとかこらえる。



「お!よう、ゼロス。春菜、紹介するぜ!」

「おやおや〜、ロイドくんでねーの。こんなところでなにしてんのよ」

「こいつ、今日俺のクラスに転校してきたんだ!三年校舎を案内するついでにゼロスに紹介しようって思ってさ」

「なるほどねぇ。ロイドくんは相変わらずやっさしい〜」

「春菜、俺の友達のゼロスだ!まぁ年は一個上だけど、頭ん中は俺よりバカだから安心してくれよな!」

「ちょ、待って待って。何その紹介の仕方?嫌がらせなの?俺さま恨み買うようなことした?」」





「は、は、はい…よろしくお願いします…」





そんな紹介を受けたけれど。
ロイドは全力で笑顔だけれど。

まさに彼は、私が思い描いていた通りの、王子様。

まともに顔を見れるわけがない。



だ、だって、かっこよすぎるんだもの…!!!!!!


こうして、私は早速、この学園で運命に出会った。





…と、このころの私は思っていた。
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