俺と君との七日間
□こうして、私たちの新生活は幕を開けたのでした
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あの後、この変な現象を説明してもらう為に、祈りの塔までレアバードで飛んで行ったの。
「ユアンさん!」
「…ハルか?どうした、そんなに息荒く…というか、何時からさんづけに、ぐえっ」
「私はミユよ!!アンタからもらった飴玉を食べた所為でお姉ちゃんと体が入れ替わっちゃったの!元に戻して!」
「う…わ、分かった!分かったから手を離せ!」
「…全く」
「はぁっ…、はぁ…。…そうか…、君がハルの妹の…」
「ミユだよ!」
「大きくなったな。…噂ではかなりのお転婆娘と聞いていたが、正にその通りだな」
「余計な事は言わなくていいよ!それより…早く元に戻す方法を教えて」
「ああ。まず、結論から言うと、元に戻る方法は一つだけある」
「!」
「…が、その方法がやや面倒でもある」
「面倒…、」
「まず、私は元に戻すための薬を今からでも作ろう。だが、それの最終的完成は短くても1週間後だ」
「1週間!?その間、私達に入れ替わったまま過ごせって言うの!?」
「そうだ。薬の作り方は特殊でな。少し時間がかかる」
「…まじか…」
「そしてその1週間の間、私の言う誓いを守って欲しいのだ」
「誓い?」
「…一つ。二人が入れ替わっていることは、誰にも知られてはいけない」
「はあ!?絶対誰か気付くと思うけど!」
「この飴玉の事が知られ、悪用されては世界のバランスが多いに崩れてしまう。それは避けたい。だから、極力この秘密の事は誰にも知られたくないのだ」
「んな無茶な…」
「二つ。入れ替わっている体で、またあの飴玉を食べてはいけない」
「……う、うん…、なんで?」
「…。もし仮に、ミユ、お前が飴玉を食べたとする。そして私と3秒以上目が合うと、再び私とお前の心は入れ替わってしまうだろう。それがどんどん広がると、収集がつかなくなる」
「あぁ…成程」
「三つ。入れ替わっている間、恋をしてはいけない」
「…えええええ!?なんでなんで!?」
「この飴玉は、恋愛ホルモンに強く反応する。もしも恋をしてしまったら、その恋が冷めるまで元の体に戻ることが出来なくなるからだ」
「めんどくさい…」
「恋をしなければいい。お前にはテセアラの神子が居るのだろう?」
「な、なんで知ってるの!!」
「私の情報網を舐めてもらっては困る」
「…なんかはぐらかされた感じ」
「そう言うな。…いいか、この三つの誓いを守ってくれれば、お前たちは比較的短期間のうちに元に戻れるだろう」
「…、守れなければ…?」
「…。……そのままの状態で、一生を過ごすことになるかもしれないな」
「!!…ま、守る!私、絶対守る!」
「はは、まあ、そんなに緊張する事もないだろう。…だが、体は嘘をつかない。お前たちの事情が誰かに伝わってしまえば、お前たちが元に戻れる可能性は必ず低くなる」
「…うん」
「では、私は今から薬を作る為に薬草をとってこよう。お前は姉にこの事を説明してやれ」
「わかった。…ユアンさん」
「なんだ」
「…1週間、だよね」
「…誓いを守りきれたら、な」
「…うん!じゃあ、頼んだよ!」
「ああ」