俺と君との七日間

□私が貴方で貴方が私で
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「…ん…」






目が覚める。

な、なんか…、体が重いしだるい。

しかも頭が痛い。

…まるで、自分の身体じゃないような感覚だ。



…それにしても、さっきのあの光はなんだったんだろう。

いまいちよく分からないまま、妹が居なくなってる事に気付いた。


…もしかして私、あいつに騙された!?

あとちょっとで妹が出てきて、「お姉ちゃん、騙されたー!」って笑うんじゃないでしょーね?


はあ…、心の中で嘆息する。

これだからおてんば娘は…。

ゼ…、神子さまが気に入る訳が分からない…。


先程の私とは全く違う意見をはじき出した私の思考は、すぐにロイドの事を考え始める。


…そういえば、今何時なんだろう?

もうすぐ落ちあわないといけない時間じゃなかったっけ?

時計時計…、って、あれ。

私、こんなに背、低かったっけ??

時計があんなに高い位置に…。

誰か動かしたのかな…。




…っていうか、それよりも。

考えてみればなんで私一人なんだ?


妹そろそろ出てこいよ。

…はあ。

…誰か探さないとなあ。





「…その前に…、頭痛いからちょっと休もう…」




心なしか、声も少し違っているように感じた。

…疲れてるんだなぁ。 

ゼ…、神子さまの家にあったソファに座りこむ。

はあ…、妹のせいだ。

あんな飴玉食べたからこんな症状が…。


はーあ…。




と、心の中でため息を連発していると、急にゼ…、神子さまの家の扉が開く。



「ハル!?」


ロイドだった。


「ロイド!」


「あ…、ああ。久しぶり。ところでハルかゼロスを知らないか?」















…は?


…ちょ、待って。

ロイドは私を探しに来てくれたんだよね?

自分でも言ってるもんね?


…え。


め、目の前に、居るじゃん。



なんでそんな言葉が出てくるの?

頭打った…??




「…あ、あの…、私だったら、ここに…」


「ん?あ、いや…、ミユじゃなくてさ…」


…ああ?


「…ミユ?」


なに、何を言ってるの、ロイドは。

もしかして私とミユ間違えてる?

…いくら姉妹だからって、酷くない?

そんなに似てるもんでもないと思うんだけどっ!


「…あのさ?私はハルなんだけど」


ロイドは沈黙する。

そして私の顔をじーっと見詰めてきたと思えば、ふっと鼻で笑った。

は!?なにその態度!


「どーしたんだよ、ミユ。さっきから変だぞ?」


「変なのはロイドだよ!私はロイドの彼女なのに…、なんで気付いてくれないの…」


言うと、ロイドは急に肩を掴んだ。

びっくりして、目を見開く私。


「…ミユ。いい加減な事、言うな」


「…ロイ、ド…」


「冗談でも、怒るのはゼロスなんだぞ?」


ちが…、うよ…。

ほんとに私は、ハルで…!

ロイドの事が大好きで…!


「お前は、俺の事じゃなくて、ゼロスが好きなんだろ」









ロイドの口から出た言葉に、私は頭が真っ白になった。


…ロイドが、おかしい。




…どうして、なんで?



私が好きなのは貴方だけ。

ロイドだけなのに。

なんでロイドは突き放すの?

私はロイドだけなのに。

貴方の恋人は私なのに。

ゼロスにはミユがいるじゃない。

どうしろって言うの?

…それとも、ロイドが言っている真理は…、









別れよう、って事なの…??










「…や、だ…」


「…!?ミユ?」


「いやだよぉ…!」


「ど、どうしたんだよ。さっきからマジで変だぞ?お前」


変なのはロイドの方じゃん…。

憤りを抑え、ロイドに抱きつく。


「…ロイドと…別れたくないよぉ…」


もう、ロイドは私の事嫌いなんだ。

だから、そんな事言うんだ。

面倒くさくなったんだ。



「…ミユ、止めろって」


ロイドは私の腕を優しく解く。

…どうして…?

私は、ミユじゃない…!


「ミユじゃ、ない!!」


泣きながら、ロイドを睨む。

ロイドなんて…!!








嫌いだ…!!








「出てってよ!」


「は?ちょ、…なにがあったんだよ」


「うるさいうるさい!喋りかけないで」


「…なあ、ミユ、」

「ミユじゃない!」





私がロイドに向かってそう叫んだ瞬間、扉が開いた。






「お〜い、ロイドくぅん?何やってるのかなぁ…人様の家で」







薄く笑いながら、それでも怒りを含むゼロスと…。













「てへっ、お姉ちゃん、ごめんねっ」











「……へ……?」








私、が、居た。

















「えええええええええええええええ!?」
















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