TOS
□本当のいけないコト
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「ゼロス様…」
「どうしたんだい?可愛いハニー♪」
「キス、して下さる…?」
「え〜そんな事急に言われたら困っちゃうなー」
嘘付け。
顔がかけらたりとも困ってない。
「…はぁ。」
ため息をつき、窓を閉める。
ゼロスは今、貴族の女性達といちゃいちゃしてます。絶対。てかみたもん。
現在、私はゼロスと付き合ってます。多分。
だって、彼には複数…嫌、もっといるな。
いっぱいの女の人達がゼロスと付き合ってる。
間違ってるって?
知らないよ、そんな事。
でも…
でもね?
…本音を言うと、好きだった。
だけど、もう我慢の限界。
別れる。
別れてやる。
どうせ私なんか、いなくなっても変わらない。
そう思ってる時に、ナイスタイミング。
ゼロスが帰ってきた。
私は一目散に短いスカートを手で掴みながら、ゼロスの元へと向かった。
「ゼロスー!!おかえりー」
「ただいま。俺さまの愛しいハニー」
己はどんだけハニーがおるんじゃボケ。
ゼロスの姿を確認すると、力いっぱい抱き締める。
これが最後のゼロスなんだと思いながら。
その様子に気付いたのか、ゼロスは何時まで経っても離れないハルに疑問を抱いた。
「ハル?どうし「別れよ」
ゼロスは唖然としている。
ただ、目を見開くばかり。
「だって、ゼロスにとっては私もさっきの可愛いハニーちゃんも変わらないもんね?」
悲痛な顔。
絞り出るような声。
ハルはまだ続ける。
「…いーや、あの可愛いハニーちゃんの方がゼロスは好きかもね!!」
「お前、なんでそれを?」
ゼロスが汗を一筋浮かべながらも余裕めいた表情で聞く。
「窓からぜーんぶ丸見えだよ!…ゼロスには、私みたいな人似合わない。」
すっとゼロスから離れると、扉を開け出ていったしまった。
「ま、待て…!」
ゼロスが伸ばした手は、虚しくも空を切っただけだった。
悪態をつくと、すとん、とゼロスはソファに座る。
「…さーて、どうするかねぇ。」
…めんどくせーことになったなぁ…
まっさか言えるわけでもねーよな…
ハルの為、だと。
結局、それの所為で俺さまはハルを傷つけた。
バカヤローだよな。
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