01/02の日記

17:40
据え膳は冷めないうちに
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同棲パラレル小話でーすー。









「はー、さっぱりした。浦原さん、風呂あがったぜ」
「ああ、は………い」
「…なにしてんの?仕事?」
「…………」
「?」
「……まあ……ちょっとだけ……」
「どした?」
「いや……、…お風呂入ってきます」
「??」

いつもよりやけに風呂の時間が長いなあ、とは思っていたが。
思わず取り落としかけた煙草を灰皿に押し付け、極力不自然にならないよう、浦原は年若い恋人から視線をそらす。揉み消しきれずに細く立ちのぼった白い煙は、カップに数滴残っていたコーヒーを落として完全鎮火させた。
手元が狂うほどに動揺をさそっているとはつゆほども思わないだろう一護は、濡れた髪をがしがし拭きながら、リビングへ体を向ける。

明日の休みは何の用事もないというシチュエーション。あわよくば恋人同士のあれやこれやに持ち込める雰囲気を作ろうとは考えていたが、まさか…一護に先手を打たれるとは。

「面白いテレビ何もねえな。…あ、このバームクーヘン食っていい?」
「…どーぞ」

普段通りにふるまう一護から立ち上る、強烈な色気。あてられないようわずかに視線をそらし、浦原はそっと息を吐く。
潤んだ瞳に、上気した頬。何かをねだるようにそしてこらえるように、かすかに揺れる視線。浦原に抱かれる『下準備』を自らしてきたのだろうことは容易に知れる。…動じない男がこの世にいるだろうか。
躍らされているのを自覚しつつ、浦原はそそくさと脱衣所へ向かう。


バレたかな…バレてねえかな……、と、耳を赤くした大層可愛らしい顔で浦原の様子を伺う一護に気付く余裕は、ない。



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