This is the end of ...

□墜ちた先
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リンクは目を開いた。真っ暗な場所に自分はいた。
“…………???”
思考が言葉にならず、疑問符ばかりをとばす。リンクは起き上がった。少し暗闇に慣れた目で、辺りを観察する。
「………牢、屋?」
ポツリとリンクはこぼした。ここはどこからどう見ても独房だった。さらにリンクは訳が分からなくなる。なんとか頭を回転させ、状況を整理した。
“オレは長らく世界を襲っていた。ようやく和平が結ばれて、オレは――――。”
リンクはギュッと唇を噛んだ。目元を強く押さえる。
“ゼルダとガノンドロフに敗れ、逃げることに失敗した。”
リンクは深呼吸をする。
“あの場で殺してくれるかと思ったけど、それは浅はかな考えだった。ゼルダはきっと、それを望まない。”
ふとリンクは左手の甲を見た。くっきりと見えていたトライフォースは、今や微かに見える程度になっていた。
“……一応、勇気のトライフォースは残ったのか。”
リンクはトライフォースから目を逸らした。
“もうオレに、これを持つ資格なんてないのに。”
かちゃり。どこかで扉の開く音がした。自身のいる牢の前には少しスペースがあり、そこから通路が延びている。そちらから誰かが歩いてくる音がした。
“悪者調は続行すべき、かな。”
リンクは腕組して通路を睨むように見つめた。人影が見えてくる。足音から薄々察してはいたが、二人だ。そうすると、ここに来たのはきっと……。
「やはり目が覚めていたか、小僧。」
大魔王ガノンドロフと。
「リンク……。」
女神ハイリア、もとい、ハイラル王女ゼルダだ。
“トライフォースは二人に戻った。オレが敗れた今も二人が一緒にいるということは、戦乱の世の中には戻っていないということ。”
二人にばれないようにしながら、リンクは安堵する。
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