This is the end of ...

□オレが目指す世界
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リンクは目を開いた。特に眩しいこともなく、暗すぎることもない。岩肌が目に入る。どうやら屋外ではないらしい。ゆっくり起き上がると、仄かな光が辺りを照らしていた。
“……ここは一体……?”
リンクが首を傾げながら辺りを見渡すと、ここは洞窟のようだった。だが、次の瞬間、そんなことはどうでもよくなった。
「え……、何コレ……。」
リンクの周囲には、かつて使用したアイテムが並べられていた。その量は半端なく、全て並べられると圧巻ものだ。数多いアイテムだが、どれもこれも、いつ使った物か、どう使うのか、全て思い出せる。
「服だけでこんなにあるんだね……。ほとんど緑だけど。って。」
リンクはいつぞやのように、自身が裸であることに気付いた。ため息を吐きながら、手近な服を取る。あえて勇者の象徴のような服ではなく、厄災ガノンを倒した時に使用した、どこにでもある旅人用の服を着用した。ついでにマントも入手する。
「子供用の服まであるね……。あ、あれがあればオオカミになれるな。」
リンクの目線の先には、当時はミドナが持っていた、魔力の結晶があった。リンクは手を伸ばす。しかし、寸でのところで思い留まった。
「今、触れたら、人間の姿に戻れるのか怪しい。どうやらマスターソードはここにはないみたいだし。他にもいくつかないものがある。貴重な物はここにはないってことだろうか。」
リンクは頷くと、威力が弱めの剣と盾を手にとった。
「とりあえずはこれでいい。必要が生じたら戻って来よう。」
リンクは、洞窟から外へ出た。

洞窟の外に出たが、そこは見覚えがない場所だった。振り返って洞窟の入口を見るが、洞窟はかなり巧妙に隠されていた。自分がそこから出てきたのでなければ、気付かないかもしれない。リンクは空を見上げた。今は昼間のようだが、木々が生い茂っていて日の光はあまり入ってきていない。そうすると、ここは森の中にあるということだろうか。リンクは前を見据えた。はっきりとした道はないが、ここを真っ直ぐ進めと本能が告げている。この世界が一体どういう場所なのか、まだ全く分からない。何があるのだろう。何をしなければならないのだろう。期待と不安に胸を膨らませる。リンクはフッと笑った。
“何があろうと、オレは、未来を切り開くだけ。今までそうしてきた。これからだって、それは変わらない。”
「さぁ、出発だ。」
リンクはこの世界での一歩を踏み出した。


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